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「ふつうの共和党候補」化していくトランプ
【共和党大会現地レポート】

お行儀が良くなった!?
共和党大会2016の会場。オハイオ州クリーブランドの屋内競技場〔photo〕gettyimages


渡辺将人(北海道大学准教授)

異例の前倒し開催

今週からアメリカでは全国党大会が2週間にわたって開かれている。大統領選挙年に本選挙前に行われる全国党大会は、各党が順に2週連続で平日4日間(月〜木)開催する。

近年の党大会は夏期オリンピック後の8月末に開催するのが常だった。ところが、2016年は、党大会後に使用可能な公的資金を早期に利用したい共和党側の思惑で前倒しされ、民主党が追随した。本選挙の「長期化」で、9月のディベートまで異例の「空白」が生じることになる。

党大会は現職大統領を攻める側の政党が「先攻」として1週目に開催。2016年は共和党が「先攻」で(7月18日〜21日)、民主党は来週(7月25日〜28日)に「後攻」で行う。

開催都市は各党の全国委員会が選ぶ。大統領候補の陣営は選べない。今回は共和党がオハイオ州クリーブランド、民主党がペンシルベニア州フィラデルフィアだ。

トランプ支持層に多い労働者の町クリーブランドだが偶然の一致だ。委員会は2014年7月と2年近くも前に開催地を決めている(民主党は2015年2月に決定)。党大会はあくまで党の委員会が準備する祭典で、大統領陣営が主催するものではない。

筆者は先週から現地入りし、両党大会終了まで大会に参加している。今回の特徴などを中心に現地から報告する。

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筆者にとって党大会参加は2008年以来3回目となるが、政党インサイダー、代議員団、取材者の3つの異なる立場から参加してきた。

2008年民主党大会では、かつて仕えた下院議員とイリノイ州議員団と共に鞄持ちとして現地入りし、偶然ヒラリー上院選陣営時代の上司が大会委員に就任していたため、会場運営も一部手伝った。

同年の共和党大会ではアイオワ州代議員団の御好意で一行に加えて頂き、宿舎から会場まで代議員団と文字通り寝食を4日間ともにする経験をしたことがある。2012年以降は研究調査目的で両党大会に参加し続けている。

過去との⽐較からいえば、今回のドナルド・トランプを指名する共和党の⼤会は決して盛り上がってはいなかった。トランプの指名受諾演説で勢いを盛り返したが、最終日までの3日間は「トランプ色」も薄く、これがあの「旋⾵」を起こしたトランプの指名大会なのかという拍子抜け感も漂っていた

しかし、それは党大会が、そもそもトランプ的な候補に力を与えるだけでなく、弱める機能も併せ持っていることと無関係ではない。