行政・自治体 選挙
「口コミ量」ではトップに立った鳥越氏に、スキャンダルを乗り切るパワーはあるか
ネットは「勝者」を知っている?②
〔PHOTO〕gettyimages

東京都知事選挙の最初の週末は三連休、その最終日に大きな動きがあった。ネット上のクチコミ量でアタマひとつ抜けてリードしていた小池百合子候補を、公示後のダッシュで猛追していた鳥越俊太郎氏が逆転したのだ(7月16日付の記事『口コミ動向分析で見えた都知事選の行方』参照)

先週金曜からこの連休にかけて各種世論調査が行われたが、その結果と、ネットクチコミの動向は一致傾向を見せている。自民党の情報戦略立案に携わった経験をもち、このほど『情報参謀』を上梓した小口日出彦氏が、前回記事(7月16日付)に続いて、ネット上の口コミ動向を数値化するというまったく新しい手法で、都知事選の情勢を分析する――。

恐るべきデッドヒート

なによりもまずグラフを見ていただきたい。

前回記事では、都知事選公示の7月14日までのまさにスタートの瞬間のグラフをお見せしたが、今回は、そこから5日分のデータを加えてある。公示日時点までのクチコミ量では小池氏が一歩リード、早めに出馬表明して稼いだメディア露出を利してアタマひとつ抜けていた。

一方、公示日直前に出馬表明した鳥越氏は、グラフ線がほとんど垂直に伸びるような勢いで加速したが、12日から14日にかけての毎日のクチコミ量は約5万、約3万、約1万と急激に息切れしているようにも見えていた。

ところが、鳥越氏は公示日翌日の7月15日をボトムに盛り返し、連休最後の18日には一気に小池氏の2倍以上のクチコミ量を稼いで逆転した。これに対して小池氏も負けてはいない。連休明けの19日には29810件(鳥越氏は29926件)のクチコミ量をたたき出し、グラフ線は鳥越氏にぴったり寄り添うように追いすがっている。

もうひとりの注目候補、自民党都連が公式に推す増田寛也氏も、じわじわと伸ばしているものの、鳥越、小池両氏には、クチコミ量ではかなり引き離されている。

この週末は、メディア各社による都知事選世論調査も行われた。「鳥越氏と小池氏が激しく競っている」という見方では各社共通で、私が見ているネットクチコミの傾向と符合する。増田氏に関してはネットクチコミでは先行二者との間に大きな隔たりがあるが、メディア世論調査ではもう少し接近している模様だ。

メディア各社は数字は発表していないが、私がこっそり調べてみたところ、17日日曜に締めた段階で、おおむね「小池vs鳥越vs増田=8:7:5」くらいの比率であるようだった。もちろん、この三者以外の候補者の支持者や、「わからない・決めていない」と回答している人もいるわけだから、この数字が現在の全体情勢を代表するわけではない。あくまでも三者の競り合いの目安である。

グラフに表現したのは、ホットリンク社のクチコミツール「クチコミ@係長」を使って洗い出した3候補の過去1ヵ月間のネットクチコミを集計した数字だ。

「クチコミ@係長」は、ブログや掲示板(2ちゃんねるを含む)のすべての書き込みテキストに対してキーワード検索をかけ、毎日のキーワードの出現頻度を抽出することができる。

今回は3候補の名前をキーワードとしてセットして、6月15日以後毎日の出現度数を一人一人について抽出した。その上で、日々の出現頻度を6月15日を起点として累積集計した。

その結果見えてきたのが公示日までの3候補のクチコミ量の差だ。経験的に、このクチコミ量の差は、最終的な得票率の差と相関性が高い。となると、現状は二者のデッドヒート、と言えるわけだ。

さて、本日(7月21日)発売の週刊文春には、鳥越氏のスキャンダル暴露記事が掲載されるという。これでデッドヒートの様相はどう変わっていくか。さらに都知事選をめぐるデータの動静を観察していきたい。