読書人の雑誌『本』
人生の「成功」をつかむにはコツがあった!私たちはなぜ、社会の「バカバカしさ」に負けるのか
アメリカンジョークに学ぶ「人生の教訓」
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文/真梨幸子(作家)

 MBAを取った大バカ者

「億万長者」というアメリカンジョークをご存知でしょうか。ちょっと長いお話なので、さくっと要約してみますと。

――日が高くなるまでゆっくり寝て。日中は自分と家族が食べる分だけの魚を取って。午後は子供と遊んで妻と昼寝して。夜は友人と一杯やったり歌ったりギターを弾いたりして。……そんな風にまったりと暮している漁師が、メキシコの田舎町に住んでいました。

あるとき、ハーバードビジネススクールでMBAを取得したというアメリカ人旅行者が漁師に話しかけてきました。

「なんてこったい! なんてみみっちい生活をしているんだい?なぜもっと働かない?

漁の時間を増やして魚をじゃんじゃん取るんだ。そして売るんだよ。そうすれば儲けることができるんだからさ。儲けた金で漁船を増やして、水産加工工場なんかも作って経営者になれば、マンハッタンにオフィスを構えることもできるんだぜ?

わおっ!マンハッタンの社長だぜ?大金持ちだぜ?おっと、それで終わりじゃない。最終的には会社の株を高くで売るんだよ。一気に億万長者だぜ!

ここまできたらもう働く必要はない。仕事からは引退。海辺の田舎町に移り住んで、日が高くなるまでゆっくり寝て、日中は自分と家族が食べる分だけの魚を取って、午後は子供と遊んで妻と昼寝して、夜は友人と一杯やったり歌ったりギターを弾いて過ごすんだよ。どうだい?夢のような「幸せ」じゃないか!最高の「成功」じゃないか!」

……なんとも、皮肉のきいたジョークです。いや、ジョークでは済まされない普遍的な人生の教訓が含まれているような気がして、ことあるごとにこのジョークを思い出してしまいます。そして考えます。「幸せ」とは?「成功」とは?