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1キロ50万円も!椎名誠が描く、驚くほど深い「ナマコの世界」
高級青魚ソイを釣り上げた椎名氏。後に小田さんの居酒屋で供された。 写真:斎藤ヒロシ

作家・椎名誠氏が自らの足でナマコを追いかける実録ナマコ小説、その名も『ナマコ』。文庫化にともない、書きおろしのエッセイを掲載!

かなりノンフィクションである

文/椎名 誠

本書は『モヤシ』に続き、2003〜2006年にかけて講談社の『IN★POCKET』に連載したものである。しかし、『モヤシ』と『ナマコ』はまるで関係がなく、ただ三文字でタイトルを作るというところに、大して意味のない意味を一人で感じていたのである。

共通しているのはどちらもぼくの好きな食い物であるということと、両方とも小説ではあるけれどかなり事実をベースにして物語を書き綴っていったという経緯がある。どちらも後半部分は旅が大きな意味を持ってくるがこれも実際に行った旅であり、そのときの実際の同行者をモデルにしている。

本書は事実ベースをもっと深めたお話で、北海道の斜里の川島三兄弟も実在の人々である。政治君がナマコ漁専門の船とその加工処理工場を造ったのも事実である。

本書にも書いたが、ナマコは相当寒い場所は別にして、地球の海のほとんどにいる、たいていの人がなんだかわけのわからない変なものと認識しているまさに変な生き物で、日本では永いこと「海の鼠」などと、疎まれはしないが、まあ簡単に言えば無視もしくはバカにされている生物だった。