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南シナ海であらわになる中国外交の「本性」〜国際法など知ったことか!
東アジアの安保は冷戦時代に逆戻り
フィリピンの中国大使館前で繰り広げられる抗議活動〔PHOTO〕gettyimages

南シナ海問題をどう裁くか

オランダ時間の7月12日午前11時(日本時間午後6時)。ついにハーグの常設仲裁裁判所が、南シナ海問題についての判定を下す。

常設仲裁裁判所は、1899年に設立された国際法廷で、国家や国際機関の間の紛争を、国際法に基づいて仲裁・調停・審査する。現在121ヵ国が批准しており、その中には中国も含まれる。ホームページには、中国語表記もある(英語の他は、国連の公用語である仏・露・アラビア・スペイン語のみで日本語はない)。

⇒常設仲裁裁判所https://pca-cpa.org/

同ホームページを読むと、2013年1月22日に、フィリピン政府によって、この案件がオランダに持ち込まれたと書かれている。

前年の2012年4月に、南シナ海の中沙諸島にある黄岩島(スカボロー礁)を、中国がフィリピンから奪取した。

私は当時、北京に住んでいたので、よく覚えているが、当時の中国人の高揚感たるや、凄まじかった。メディアは連日、黄岩島報道一色で、共産党や政府幹部だけでなく、市場の野菜売りのオバサンとか、タクシー運転手といった一般庶民たちも興奮していた。小さな島を一つ取ることが、これほど国民全体を沸き立たせるものかと驚いたものだ。

もっともこの年の中国人は、その5ヵ月後に、尖閣諸島を日本政府に国有化されてしまい、黄岩島の時の喜びと同じくらいの振幅で憤ったのだったが。

黄岩島から200km東には、フィリピン軍のスービック海軍基地とクラーク空軍基地がある。そのため地理的に言えば、フィリピン軍の方が中国人民解放軍よりも有利だ。

だが両基地からは、1991年にアメリカ軍を撤退させているので、脆弱なフィリピン軍だけでは、中国軍に立ち向かうことができなかった。そこで当時のアキノ政権が、「中国が主張する南シナ海全域を覆う『九段線』は国際法的根拠がない」として、常設仲裁裁判所に提訴したのだ。