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ユーロ圏の金融システムは大丈夫か? イタリア銀行業界が危機の崖っぷち!
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7月に入り、イタリアの大手銀行「モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(モンテ・パスキ)」の不良債権問題に対する投資家の懸念が高まっている。同行の株価は、年初来80%近く下落。政府はEUと交渉し銀行の救済案をまとめようとしているが、今のところ具体的な対応策はまとまっていないようだ。

不良債権問題やマイナス金利の影響によって、これまでにもユーロ圏の銀行システムに対する不安は高まってきた。すでに本年2月には、ドイツ銀行の経営不安が高まり、世界的な株安につながった。

今回はEUの政治リスクが、銀行に対する懸念に波及している。イタリアでは、右派の台頭によって与党の政権基盤が危ぶまれている。一方、銀行の救済はEUレベルでの取り決めに従わなければならない。事態の改善が進まない中、徐々に投資家は先行きへの警戒を強めている。

状況次第で、イタリアの銀行セクターの混乱がユーロ圏の銀行システムに伝播し、世界的なリスク回避につながる可能性があることを考えておくべきだ。

ユーロを悩ませる不良債権問題

2000年代の初め、米国の住宅市場を中心に世界的な不動産バブルが発生した。バブルの熱気に浸り、ユーロ圏の銀行は積極的に不動産や企業向けの融資を増やした。

しかし、バブルはどこかではじけ、その後は痛みを伴う後始末が必要になる。2000年代中盤、米国の住宅バブルが崩壊し、世界的な不動産バブルは終焉を迎えた。こうして、多くの金融機関が“不良債権問題”に直面した。

リーマンショック後、米国では政府やFRBが不良債権の買い取り機構を設置し、不良債権の処理や銀行の再編が進んだ。しかし、ユーロ圏では“ソブリン危機”が発生し、南欧を中心に不良債権の処理が遅れてきた。特に、中小企業向けの融資が多いと言われるイタリアでは、景気の低迷が企業の倒産件数を増加させ、不良債権は増加トレンドにある。

2014年6月にはECBがマイナス金利を導入し、ユーロ圏の銀行収益には下押し圧力がかかった。その結果、2016年2月には、ドイツ銀行が社債の利払いを実行できないとの懸念が高まり、ユーロ圏の金融システム不安の上昇が世界同時株安につながった。

その後の原油価格の反発や世界的な株価の上昇が懸念を後退させたが、ユーロ圏の不良債権問題が解消されたわけではない。

すでにモンテ・パスキの不良債権比率は40%を超え、その半分程度が引当金でカバーされていない。イタリアの銀行救済基金の資金力も不十分と言われている。

このままの状況が続けば、着実に銀行の信用リスクは高まるだろう。モンテ・パスキを筆頭に、イタリア銀行業界は危機の崖っぷちに立っているといえる。

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