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ドイツの空港を「爆買い」しようとした、中国人投資家の正体
〔PHOTO〕gettyimages

お荷物空港売却のニュース

フランクフルト国際空港から120キロも離れたところに、もう一つ空港がある。フランクフルト・ハーン空港。昔、米軍が空軍基地として使っていたもので、戦闘機の発着の多さに、一時はドイツ国の航空母艦とまで言われた。

その後、東西冷戦が終わり、米軍は去った。90年の終わりからは、アイルランドの格安航空会社ライアン・エアが利用し、あまりお金のない旅行客を運んだ。

ちなみに、ライアン・エアはヨーロッパで最大の利用客を誇る航空会社だ。信じられないほど格安のチケットを出すからだが、その経営方針がまた凄まじい。スーツケースは、空港ビルから飛行機までゴロゴロ自分で引きずって行かなければならないし、座席は自由席でエコノミーだけ、リクライニングはできない。

飲み物もなければ(頼む時は有料)、座席の前のポケットもテーブルもない。たいていの空港はアクセスが悪く、したがって、基本的に乗り継ぎ客は存在しない。つまり、遅延によって乗り継ぎが出来なかったケース、あるいは、荷物が乗り継ぎ便に乗らなかったケースの保証は生じない。

フランクフルト・ハーン空港は、このライアン・エアが使っていた不便な空港の一つだった。空港の所有者は、95年よりラインランド−プファルツ州(82.5%)とヘッセン州(13.5%)に変わったが、経営自体はずっと赤字だったようだ。そのうち、ライアン・エアが離れ、いくつかの貨物輸送会社も離れ、空港は深刻な経営難に陥った。

しかたなく州の税金を注ぎ込んだら、州民の抗議が始まり、まずいことに空港関係者の汚職も明るみに出た。ラインラント・プファルツ州が、こんなお荷物は早く売り払ってしまいたいと思ったのは、ごく当然の成り行きだった。

空港売却のニュースが流れたのが今年の6月6日。買主は中国のSYT社(Shanghai Yiqian Trading)。本社は上海。

SYT社の全権代表のChou氏が、州の内務大臣レヴェンツ氏と大喜びで握手をしているおめでたい写真が出た。空港の値段は1300万ユーロ。