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「日本円=安全資産」神話はウソだった! リスク回避局面で「円高」になる本当の理由
投資家に見透かされた日銀の無能
〔PHOTO〕gettyimages

「日本破綻論」はどこへいったのか

今回のBrexit問題においてもそうだったが、グローバル規模の外的ショックがマーケットを席巻すると、円やスイスフランが他の通貨に対して増価する(すなわち円高になる)現象がよくみられる。

メディアでは、このような局面の説明として、「安全通貨といわれる日本円を購入する動きが強まった」などと表現されることが多い。

円高は、基本的には、外国為替市場で日本円を買いたいと考えている投資家の数が日本円を売りたいと思っている投資家の数を上回っているために起きる現象である。そのため、正しいといえば正しい表現ではあるのだが、筆者はこのフレーズを耳にするたびに、なんともいえない違和感を持ってしまう。

その理由は明らかである。つい先月までは、安倍首相の消費税率引き上げの見送り決定について、ほとんどすべてのメディアが、「日本破綻論」を唱えていたからだ。

「日本経済は財政破綻寸前の危険な状態にあり、ここで増税しないと日本の国家財政はもたない」とか、日銀が追加緩和を実施するたびに「これ以上、日銀が国債を購入すると、財政規律が緩んでしまい、日本の財政赤字に歯止めがかからなくなるため、やがて財政破綻するリスクが高まっている」といった話である。

当たり前のことだが、国の財政が破綻すれば、日本円の価値は大きく毀損してしまうだろう。すなわち、「円暴落」が起きるはずである。

ついさっきまで、財政規律の緩み、過度の金融緩和(この場合は国債の大量購入によるマネタリーベースの拡大)が、円を暴落させかねない要因だとさかんに喧伝していたメディアが、手のひらを返したように、日本円が世界で最も安全な通貨の一つであるかのような表現を用いるのは不思議な現象だ。

ただ、無数にあるニュースに日々追われまくっているメディアが、その場限りの「条件反射」をするのは致し方ないとも思う。だが、全く同様の解説を、経済の専門家であるエコノミストや為替アナリストが平気で行っているのには正直いって閉口する。

まあ、TVニュースや雑誌で垂れ流されるその手のコメントは信じないに越したことはなく、結局は自分で考えて納得のいく結論を導き出すしかないのだが(その場合は、自分が間違っていても納得がいくし、なぜ、自分が間違っていたかを後から反省することができる)、それでもなお、気になることがある。日本円は本当に「安全通貨」なのだろうか?