医療・健康・食 週刊現代
病院に行くから病気になる!? ドキュメント「院内感染」
スーパー耐性菌の恐怖
〔PHOTO〕gettyimages

薬が効かない不死身の菌

「一体どうなっているんだ。なぜ死んだんだ」

「原因が分かりません」

医師や看護師が慌ただしく病院内を走り回る。

脳梗塞や肺がんなどで入院していた患者が、ある一定期間に、次々と亡くなっていく。しかもその死因がはっきりしない。それはまるで病院中の患者が原因不明の病に冒されたかのようだった。

「院内感染」——。

病院内で新たな病原菌、ウイルスが発生し、出入りする人すべてに感染する。特に抵抗力が落ちた入院患者が、病原菌の格好の餌食となった。

'10年、帝京大学医学部附属病院で大規模な院内感染が発生した。60人の感染を出し、35人が死亡。そのうち9人は「院内感染と死亡との因果関係が否定できない」と公表され、大きな話題を呼んだ。

同病院の院長は「命を守る病院でこのようなことになり申し訳ない」と謝罪会見で頭を下げた。本来なら患者を治療するはずの病院で起こった悲惨な事件。

帝京大病院の中で発生したのは、スーパー耐性菌と呼ばれる「多剤耐性アシネトバクター・バウマニ」(MRAB)だった。

感染症に詳しい医療コンサルタントの岸田直樹氏が、この菌について解説する。

「スーパー耐性菌とは、簡単に言うと『薬が効かない病原菌』のことです。アシネトバクターは自然界に広く存在し、普通は感染することはありませんが、病院内での不必要な抗菌薬の使用などによって、抗生物質が効かない、不死身の菌に変化してしまうのです。