週刊現代 企業・経営 経済・財政
原点は「力士御用達」大きいサイズの紳士服・サカゼン社長の経営哲学
〔PHOTO〕サカゼンHPより

「大きいサイズの紳士服」で知られる「サカゼン」、若者向け衣料品を販売する「ゼンモール」を展開する坂善商事を取材した。創業者・坂本善重郎現会長の息子である村上隆司社長(57歳)は「性善説経営」で実績を残す人物だ。

(取材・文/夏目幸明)

お相撲さんの来店が多かったのがルーツ

死んじまう

創業時、父は周囲からバッシングを受けたそうです。戦後、10代で洋服の卸を切り盛りしていたのですが、当時は洋服の質が悪く、いったん売り上げを計上しても、翌月には返品で何割も目減りする。父は「これじゃ商売にならない」と、問屋街で自ら小売りを始めました。繁盛しましたが、だからこそ周囲から「卸が小売りを始めれば、価格面で有利なのは当たり前だ!」と叩かれてしまった。

しかし父は「俺は絶対勝つ」と言っていたそうですが、その理由は「みんな年上だから、先に死んじまう」というものでした(笑)。旧来のビジネスを覆すなら、これくらいの気概が必要なのかもしれません。実際、当時の製造・卸の会社は、その後ほとんどなくなっていきました。

在庫の山

大きいサイズを扱うようになったのは、お客様への気遣いがルーツです。創業の地である東京の馬喰町は、国技館が近く、お相撲さんのご来店が多かったのです。皆さん「どの店に行ってもサイズに合う服がない」とおっしゃるので、父は「お困りだろうから」と大きなサイズの服を充実させていきました。ここに商機がありました。大きいサイズはほかで買えないため、お客様は必ずリピーターになってくれたのです。

ですが、当時は宣伝の方法もなかったので、なかなか認知されず、在庫は増える一方でした。それでも父は、「何度来ても品揃えが同じじゃ、お客さんが飽きちゃう」と仕入れ続け、「体の大きな方が裸でご来店なさっても下着まで全部揃う店」を目指したのです。そして、5年ほどすると「九州から出張で来た。東京に来るたびここで服を買うんだ」といったお客様が増え、大きなサイズの服が経営の柱になり始めたのです。

原宿

ゼンモールは私が開業したお店です。'85年、景気が絶好調の時期に、ファッションの最先端だった原宿・竹下通りに出店すると、たった15坪の店舗で年間約3億円の売り上げを記録しました。時代の勢いは凄まじい。とくに「時代の勢いを象徴する場所」で商売をすることがいかにすごい結果を生むかわかります。勢いがある場所は、ビジネスのテンポが速く、仕入れた商品が売れるか、1日でわかるのです。店につるした初日に売れなければ、その後も売れませんでした。

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