医療・健康・食 週刊現代
若い医者ほどやりたがる……内視鏡・腹腔鏡手術は危ない!
開腹よりもはるかに難しいのに
〔photo〕iStock

手術部位が血の海に

「開腹手術なら術中の思わぬ出血にも適切に対処できますが、腹腔鏡手術では予期せぬ出血が起きてしまうと止血がままなりません。生命を左右する事態となる危険性が開腹手術に比べて高い。

特に肝臓やすい臓におけるがんは大量出血の恐れが高く大変危険です。肝臓やすい臓の場合、大血管が周囲に存在している上、体内の奥深くにあるため、内視鏡のモニターでは見えづらく、誤って傷つけてしまう可能性が高いのです」

こう語るのは、元東京医科歯科大学肝胆膵外科教授で、現在は浜松労災病院の院長を務める有井滋樹氏だ。

腹腔鏡手術とは、腹部に5~10㎜程度の穴を数ヵ所空け、そこから内視鏡(カメラ)と電気メスなどの手術器具を挿入して、モニターに映し出された映像を見ながら病巣を切除する手術である。

従来の開腹手術と比べ「傷跡が残らない」、「身体への負担が少ない」との触れ込みで、ここ10年ほどで急速に普及。胃がんや大腸がんでは、半数以上の手術が腹腔鏡で行われるようになった。

だが、この手術は非常に高度な技量が要求され、一歩間違えれば「死」のリスクを伴うことを忘れてはならない。

'14年、群馬大学医学部附属病院で、腹腔鏡手術を受けた患者8人(開腹手術も合わせれば18人)の死亡が判明した事件を覚えているだろうか。

この事件はある一人の医師による手術ミスが原因だった。被害対策弁護団事務局長の梶浦明裕弁護士が明かす。

「弁護団では、この医師の腹腔鏡手術中のビデオを複数の専門医に見てもらいましたが、彼らが口を揃えて言っていたのは『手術があまりにもヘタ』ということ。出血が多くて、まるで血の海で手術をしているよう。モニターでは手術部位がまったく見えないほどでした。

そのため、病巣以外のところを電気メスでやけどさせるなど、素人目にも稚拙な手術という印象を受けました。

にもかかわらずこの医者は、患者と家族に対しては『簡単で安全な手術』と言うだけで、手術の危険性や腹腔鏡手術以外の代替手段について説明をしていなかったのです」

しかも、この事件が権威ある大学病院で起きたという事実が、さらに恐ろしい。