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「米中減速」「欧州不安定化」の同時進行という悪夢
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英国のEU離脱交渉の先行きがはっきりしない。ドイツなどのEU加盟各国は英国との水面下での交渉を否定し、早期の離脱申請を求めている。一方、キャメロン首相が辞意を表明する中、与党保守党はどうEUとの交渉に臨むか、明確な指針を示すことができていない。英国は欧州、そして世界の政治の中で漂流しつつある。

政治が不安定な状況に陥ることは、経済には明らかにマイナスだ。しかし、金融市場では英国の国民投票後の混乱が収束し、徐々に懸念は後退しているようだ。

一方、中央銀行関係者の発言を見ると、景気先行きに対する慎重な見方が増えている。今後の世界経済を考える上で、何がリスク資産の上昇を支え、それが持続可能かを冷静に見極めることが重要だ。

不透明感高まる欧州政治

英国の政治はリーダーを失い、どの方向に進むかが分からなくなりつつある。簡単に言えば、船が舵を失った状況だ。次期保守党党首の有力候補とみられた、ボリス・ジョンソン前ロンドン市長は党首選に出馬しないことを表明した。現状ではゴーブ司法相、メイ内相が有力候補と目されている。

気がかりなのは、ドイツなどのEU加盟国からの要求と、英国の考えの溝が深いことだ。EUサイドは早期の離脱申請を求め、正式申請後でなければ交渉に応じないと表明した。そして、一切の特別扱いはしないことを言明した。

一方、英国の政治家の基本スタンスは「急いで申請をすべきではない」だ。また、離脱派のゴーブ司法相、残留派のメイ内相ともEUに対しては強硬な考えを持っているようだ。どちらの候補者が党首になってもEUとの交渉は難航するだろう。

国内でのEU残留を求める世論の高まり、スコットランドのEU残留表明など、英国の政治が混乱しているだけに、離脱交渉に関する不確定要素は多い。

結果として、英国の国民投票は欧州全体の政治を混乱に陥れた。ドイツなどは、EU離脱の連鎖が大陸欧州に広まることを何としても避けたい。だからドイツ等は「英国の国民投票に後戻りはない」と厳しい姿勢を示し、決断を迫っている。