野球
32年ぶりの快挙!広島カープはなぜ11連勝できたのか
〔photo〕wikipedia

カープに何が起きたのか?

これはもう事件と言うべきである。何ほどかのことは、ここでも触れておかねばなるまい。

6月14日の西武戦から6月29日の東京ヤクルト戦まで、広島カープがなんと11連勝した。球団としては32年ぶりの快挙だという。ついでに言えば、2位巨人に9ゲーム差をつけて首位独走中である(6月30日現在)。

この快進撃の象徴的な選手は鈴木誠也である。二松学舎大付高出身の4年目、22歳。6月17日、18日のオリックス戦で2試合連続サヨナラホームランを放った。19日も決勝ホームランを打って3日連続で勝利の立役者となった。

高卒4年目の若手がブレイクした、というと“広島は無名の高校生を猛練習で育成して強くなる育成型の球団”という立派な評価を思い浮かべる人も多いだろう。

まず、常識的かつ、ある種の美談にさえなっているこの評価を否定しておきたい。

たとえば、2000年(平成12年)からのドラフト1位(ないし1巡目)指名された高校生を並べてみよう。

横松寿一(2000年)、大竹寛(2001年)、白浜裕太(2003年)、佐藤剛士(2004年)、鈴木将光(2005年)、前田健太(2006年)、安部友裕(2007年)、今村猛(2009年)、高橋大樹(2012年)。

このうち、大竹は甲子園出場し未登板ながら日本代表にエース格として選ばれるほどの有名選手だった。前田は球団が育てたというより、自力で勝手に大きく育ったというほうが近い。

安部は9年目の今年、ようやく少し花開きかけているが、大成するとまでは言えないだろう。今村も甲子園優勝投手である。つまり、もともと有名だった選手はそれなりの活躍をしているが(マエケンもPL学園のエースでセンバツベスト4)、無名の高校生が大きく育ったというケースは、ドラフト1位を見る限り、ないのだ。

むしろ、2010年くらいから、ドラフトの傾向が変わったように見える。2010年福井優也(早大)、2011年野村祐輔(明大)、2013年大瀬良大地(九州共立大)、2014年野間峻祥(中部学院大)、2015年岡田明丈(大商大)――要するに高校生ではなく、即戦力が期待できる有名大学生を指名するようになったのだ。

そして、この頃から、長い低迷期を脱して、上位を狙える戦力が整い始めた。