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「爆買い観光客」がどれだけ増えても、人口減少に苦しむ地方は救われない
地方はどう変わればいいか?
コスタ・ビクトリア 〔PHOTO〕gettyimages


文/貞包英之(山形大学准教授)

「カーゴ船来訪」に期待する地方都市

2016年5月、新潟東港に乗客定員2400名近くを誇るクルーズ船「コスタ・ビクトリア」が入港した。韓国の東海港を出発し、ウラジオストックを経て、室蘭、青森に立ち寄り、さらに新潟の後には金沢を経由し、一週間ほどで釜山へ帰港する予定の国際旅客である。

こうしたクルーズ船に今、地方から大きな注目が寄せられている。少子高齢化やそのための人口減少に苦しむ地方の都市では、海外から来る観光客に買い物や食事で金を落としてもらうことが期待されているのである。

新潟でもコスタ・ビクトリアは歓迎を受け、乗客は郊外のイオンモールや酒蔵、温泉、街なかの商店街に案内された。大半が韓国からの客であることや、すでに室蘭や青森に寄港していたこともあり、かならずしも「爆買い」という状況がみられたわけではない。

それでも客たちは絆創膏や正露丸、ピップエレキバン等の医薬品、カレー、せんべい、醤油などの食料品を中心に買い物をし、短い観光を楽しんだ後、次の目的地へと旅立っていった。

「カーゴ信仰」というものが、太平洋の島々にある。海からやって来る貨物船(カーゴシップ)が、富をもたらしてくれると信じ、それを呼ぶための儀礼をおこなうものである。

地方都市にとって、観光客を乗せたクルーズ船は、今いわばそうしたカーゴ船として大いに期待されているのである。