イチローが3000本安打を達成できた「とてもシンプルな理由」
〔PHOTO〕gettyimages

文/長谷川滋利

全米も祝福ムード

日本では連日、大記録へのカウントダウンが行われていましたが、アメリカでもイチロー選手の記録への注目度は高かったです。

まず話を、イチロー選手が日米通算ヒット数を4256本、4257本として、ピート・ローズさんの持つ「通算ヒット数4256本」の記録を抜いた6月15日のパドレス戦から始めましょう。1打席目はボテボテの内野安打、5打席目にライトへのダブル。どちらもイチローらしい、狙うというより反応した感じのヒットでしたね。

これで達成した新記録に対して、現地の報道はどのような感じだったかというと、意外と、というとイチロー選手に失礼かもしれませんが、けっこう大きく扱われたのです。というのも、今までの記録、例えば日米通算2000得点なんていうのが昨シーズンにはありましたが、あれは簡単なセレモニーがあったくらいで、言葉は悪いですが「騒いでいるのは日本人だけ」という類いのものでした。

ところが、今回の記録は全米のニュースになりましたし、翌日のエンゼルスのホームでは、試合前に「こんな記録が生まれました」という映像が球場に流されるなど注目度は高かったのです。

ただ、伝え方としては「イチローが世界一のバットマンになった!」というよりも「イチローの通算安打が世界一になりました」という淡々としたものでした。

というのは日本でもかなり報道されていると思いますが、4256本の記録を持っているピート・ローズさんが「日本の記録を足すのは違和感がある」「価値が違うだろう」などなど、メディアを賑わせているからです。

これについてはこちらでも賛否両論ありますが、野球をよく知っているファンからは「日本にはダルビッシュやタナカ、マエダ級のピッチャーがいるんだから、そこで打ってきたのは評価できるのでは」という声も少なくないですね。

また、ピート・ローズさんは、みなさんも薄々、気付いているかもしれませんが、多少、クセのある人ですから、万人に愛されているというキャラクターではないんです。

それに対してイチロー選手は彼について何か言うわけでもなく「周囲の人、チームメイトや関係者が喜んでくれたなら僕も嬉しい」といったコメントを出していました。両者のコメントを比べても世論はどちらにつくかといえば、明確ですよね。今回の件でイチローはまたスーパースターとしての地位を高めたと言っていいかもしれません。