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イギリス国民の「決断」は、世界の地殻変動を告げる"号砲"だ
〜事の本質を見誤るな!

日本が学ぶべき教訓は?
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世界の地殻変動を告げる号砲

英国の欧州連合(EU)離脱ショックが収まらない。「金融市場の動揺は数日で収まる」などと楽観論も聞かれたが、だから「エコノミストは近視眼」と冷やかされる。これは単に経済の話ではない。世界の地殻変動を告げる号砲かもしれないのだ。

たしかに世界の株価は一時の急落ショックから脱して、なんとか小康状態を取り戻したかに見える。だが中長期的にみれば、経済へのマイナス効果はあきらかだ。EU離脱によって、英国経済は確実に苦しくなる。欧州や世界経済全体にも不透明感が重くのしかかっていく。

離脱派が勝利した後、一部で「離脱に賛成したのは間違いだった」という反省の声が続出した。そこをとらえて「だから言ったことじゃない。いまごろ何を言っているんだ」と冷ややかな声もある。

そんな展開を横目で見ながら、マスコミでは「今回の選択はポピュリズムに煽られた結果」といった冷ややかな批評が相次いでいる。ポピュリズムとは、人々の不安や怒りにつけ込んで、指導者がセンセーショナルな言辞で煽り、政治目的を達成しようとする手法だ。

たしかに離脱派の言い分には、大げさすぎたところがある。

たとえば「英国は毎週、EUに3億5000万ポンド(約480億円)も拠出している」という話だ。離脱派は「EU離脱で浮く拠出金を国民医療サービスに振り向ければいい」と主張した。だが、逆に英国がEUから受け取っている分を差し引けば、実際の持ち出しは「週に1億数千万ポンド」にすぎなかった。

指導者たちが真実でない話を材料にして、人々を煽った面があるのは否定できない。

だからといって、人々が経済的打撃をまったく認識していなかったかといえば、そうとは言えないだろう。英国財務省や経済協力開発機構(OECD)はじめ世界のシンクタンクやエコノミストはそろって「離脱の経済的マイナス効果」を宣伝していた。

それでも多数の人々が離脱を選んだのだ。「多少のマイナスがあってもEUの傘の下にはいたくない」と考えた。なぜかといえば、移民とテロへの不安を感じていたからだ。