国税庁HPで公開されている税務調査の再現映像より
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国税は突然やってくる! 後悔しても遅い、容赦なき自宅捜索の実態

元国税調査官が「手の内」を明かす

強面の税務調査官が、目を鋭く光らせ自宅にやってくる。矢継ぎ早に繰り出される厳しい質問、容赦ない自宅内の捜索。なぜバレた? 後悔しても遅い。恐るべき「臨宅」の実態を明らかにする。

「そこ、見ていいですか?」

その電話は、ある日突然かかってきた。

「××税務署です。○月△日、相続税の件でおうかがいさせて頂きます」

これが悲劇の幕開けだった——。

都内近郊に住む大井達夫さん(60歳、仮名)が父を亡くしたのは、3年前。自宅の土地、株式、預貯金など合わせて遺産総額6000万円を相続、税務署に申告していた。

実は大井さんの父は生前、相続対策で預金の一部を息子に500万円、孫に400万円といった形で、いわゆる名義預金に移していた。名義預金は地方銀行、中堅行などに分散して作ってある。父からは「絶対にばれない」と言われていたので、相続の際その名義預金は申告しなかった。

「あれからすでに3年も経ち、『もう大丈夫』と思っていた。そんな時に突然、連絡があったので動揺しました」(大井氏)

当日、午前10時にスーツ姿の男性調査官が2人でやってきた。一人は痩せ型で眼鏡をかけた真面目そうな男、一人は、体育会上がりと言った感じの屈強そうな男。二人とも30代くらいだろうか。何を言っても見透かされそうな気がして、大井さんの緊張が高まる。

そして、ダイニングテーブルをはさんで対面するや、2人の調査官は質問を投げかけてきた。

「生前のお父さんの口座から出金されていた500万円ですが、何に使われたかご存知ですか」

大井さんは表情を読み取られないように、「ああ、家族旅行でヨーロッパを回ったんです」と平静を装い、答えた。

すかさず調査官は、「ではその旅行の写真を見せてください」と要求してくる。大井さんは慌てて「家族写真は撮らないんです」と返すも、明らかに動揺を見透かされた。

実際、税務署の調査官たちは、名義預金の情報を事前に入手していた。あらかじめ金融機関に出向き、大井さんの父みずからがこの口座を開設していたことの確認まで取っていたのだ。

まるで「犯人」を自供に追い込むように、調査官は次々と質問を畳み掛けてくる。

調査官 「この400万円の出金はなんですか」

大井 「父の入院費に使いました。治療は何かとカネがかかりますから」

調査官 「その領収書は残っていますか」

大井 「そんなもの、とっくに捨てました」

午後になると、「現物確認」が始まり、調査官は各部屋の捜索に動いた。「書斎はどこですか」「次は金庫を見せてください」「仏壇の後ろも見ていいですか」……調査官は家じゅうを、休みなく、くまなく捜索する。

「観葉植物の鉢植えの中も見ていいですか」

調査官に言われて、大井さんは震えた。まさにそこに名義預金の通帳を隠していたのだ。

断るわけにもいかず、大井さんは観念した。調査官が鉢植えの土の中に手を入れると、ビニール袋に入った預金通帳の束がゴソっと出てきた。

調査官 「この口座はあなたのものですか」

大井 「いえ……」

調査官 「あなた名義になっていますが」

大井 「は、はい……」

調査官 「口座開設する際の筆跡を確認しましたが、お父さんのものでしたよ」

大井 「本当にすいませんでした」

もう言い逃れはできない。大井さんは降参するしかなかった。

調査中に申告漏れを認めたものの、明らかに故意で財産を秘匿していたことから、大井さんに下されたのは、40%の重加算税という厳しい処分だった——。

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