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日刊スポーツよ胸を張れ!「都議団大名視察」報道は、”世の中を変えた”本物のスクープだ
後れを取る大新聞
筆者撮影

日刊スポーツのクリーンヒット

高額な海外出張などで批判を浴びた舛添要一氏が東京都知事を辞任。その余波で今後は東京都議会がリオデジャネイロ五輪・パラリンピック視察を取りやめた。

都議会は舛添氏の高額海外出張などを厳しく追及してきたにもかかわらず、予算を大幅に上回る費用をかけて、全都議の2割以上に相当する28人(後に27人)をリオに派遣しようとしていた。ホテル代の高騰などで出張費の総額は1億円に迫るとも指摘され、「大名視察」を中止せざるを得なくなった。

舛添氏辞任のきっかけとなるスクープを放ったのは週刊誌の週刊文春だった。では「出張費1億円」を指摘してリオ視察中止の議論を喚起させたのはどこか?

私が主要メディアを調べた限りではスポーツ紙の日刊スポーツである。舛添氏をめぐる報道と同様に、ここでも大新聞は存在感を示せなかった。

日刊スポーツは6月17日付の中面で、「都議団リオ視察1億円超?」との大見出しを掲げて「大名視察」の可能性があると伝えている。リオ中心部のホテル代が4倍以上に高騰しているのに都議会はホテルを押さえていないなどと指摘したうえで、総出張費が1億円近くになるとの見方を紹介。併せて「都議団は知事よりずさん」と題したコラムも載せている。

主要各紙が都議会の高額リオ出張を取り上げ始めたのは5日後の22日付朝刊からだ。

世論の反発を懸念した都議会の各会派が前日にリオ視察見直しの検討に入ったのを受け、朝日は「宿泊費の高騰などで6200万円の予算を大幅に上回る可能性があることがわかった」、読売は「予算の6200万円を大幅にオーバーすることが判明した」と報じている。

どのぐらいオーバーするのか? 朝日は社会面記事で「宿泊費が値上がりし、経費が1億円前後になる可能性もある」と指摘し、産経は1面コラムで「ホテル代などの高騰によって1億円前後になる可能性もある」と書いている。日刊スポーツの数字を裏付けた格好だ。そして24日、都議会は視察団派遣の中止を正式に発表した。

日刊スポーツの記事が現実に都議会を動かすきっかけになったのだとすれば、「大名視察」報道は立派なスクープだ。

リオ視察の全面的中止が妥当な判断だったかどうかはともかく、税金の無駄遣いを防ぐうえで一役買ったのである。「世の中を変えた」報道であり、野球で言えばホームランではないかもしれないが、少なくともクリーンヒットだろう。