大統領選 アメリカ 国家・民族

トランプ打倒の前に、ヒラリーは党内で「板挟み」状態
〜迫られる苦渋の決断

水面下でつづく予備選の「延長戦」
渡辺 将人 プロフィール
このエントリーをはてなブックマークに追加

サンダースとウォーレンに挟まれて…

そもそも党綱領委員にサンダース派5名が入るだけでは、形式的「ガス抜き」に終わる可能性はあった。

そこでサンダースは「選挙戦やめないぞ。戦い続けるぞ」と反ヒラリーの熱狂的な支持者を満足させるだけでなく、党綱領の下書きにいちいち文句を付ける声明を出している。サンダースは「ヒラリーに投票する」ことは明らかにしたが、「支持(エンドースメント)」はできないとして、綱領の内容への不満を訴え続ける構えを見せている。

他方で、ウォーレンは「ヒラリーこそがプログレッシブの鑑です。きっとウォール街に厳しくしてくれるはずです」という褒め殺しを続ける。

このサンダースとウォーレンの「良い警官、悪い警官」「アメとムチ」のような、妙な役割分担のサンドイッチで、ヒラリー陣営が本選での中道回帰という通常の大統領選挙の王道戦略を採らないように、見えないプレッシャーを与えている。

その仕上げになっているのが、副大統領の下馬評報道だ。様々な人物の名前があがる中、一時期リベラル・メディアが喧伝していたサンダースというチョイスは完全に影を潜め、ここにきてウォーレンが「ワイルド・カード」役を果たしている。

ウォール街は「左傾化までは選挙戦略上、理解できるが、ウォーレンを副大統領候補に選ぶことは臨界点」という姿勢だ。

これはヒラリー陣営にとって苦渋の決断になる。ウォーレンとの「二人三脚」は、頑固なサンダース支持者を招き込む上での特効薬だが、金融界との「衝突」にまで踏込めば、選挙資金で不利になるからだ。ウォール街と付かず離れずでやってきたクリントン派にとって、かつてない「ルビコン」になりかねない。

だが、ウォール街を遠ざけることでこそ、サンダース支持層の取り込みが完了できるとの現実論もある。サンダース支持層がヒラリーの選挙に本格合流すれば、凄まじい草の根の小口献金力がヒラリーを助けるという見立てもある。

無論、これは相当な楽観論だ。サンダース支持の活動家の情熱的献金力は、対象がサンダースでなければ同じレベルでは発揮されないだろう。

記事をツイート 記事をシェア 記事をブックマーク