大統領選 アメリカ 国家・民族
トランプ打倒の前に、ヒラリーは党内で「板挟み」状態
〜迫られる苦渋の決断

水面下でつづく予備選の「延長戦」
ようやくヒラリーへの支持を表明したリベラル派のエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(左)。しかし、これでヒラリーの足元が"盤石"になったわけではない……〔photo〕gettyimages

渡辺将人(北海道大学准教授)

水面下で続く予備選の「延長戦」

先日、オハイオ州で、ヒラリー・クリントン元国務長官とエリザベス・ウォーレン連邦上院議員が共に壇上にのぼった。しかし、民主党女性上院議員で唯一ヒラリーへの支持表明をしていなかったウォーレンは、ヒラリーの支持を今月(2016年6月)になってようやく表明した経緯がある。

ウォーレンは、バーニー・サンダースと同じ「反ウォール街」の左派であり、サンダース旋風の事実上の生みの親である(拙稿「サダース旋風がヒラリーに与える「党内外圧」 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48069)。ウォーレンのヒラリー支持に、サンダース支持者は悲鳴をあげた。無論、ウォーレンは単に取り込まれたわけではない。リベラル派の利益のための政治決断である。

一方、ウォーレンの支持でサンダース支持層の取り込みにメドがたったと安心するヒラリー陣営も、「副大統領候補にウォーレンを!」とエスカレートとするリベラル派の要求には手を焼いている。

この時期の副大統領候補選びは、メディアへのリークが飛び交う「情報戦」「心理戦」になる。陣営は観測気球(アドバルーン)を打ち上げ、メディア、有権者、支持基盤(献金筋)、相手政党の反応を見定める。周辺からのノイズも増える。

7月25日から始まる民主党全国大会まで1ヵ月を切ったなか、両陣営は、党綱領と副大統領候補の2つを決めなければならない。民主党の内部では、水面下ではこれら2つをめぐる予備選の「延長戦」が続いている。

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一般論として予備選は無風よりも「好敵手」がいたほうが望ましい。ヒラリー陣営にとって「適度なチャレンジャー」が出現してくれることは理想だった。支持基盤が活性化し、草の根動員、献金などの本選への助走がつくし、メディアの枠も相手政党に独占されずにすむ。

しかし、サンダースは「適度」ではなかった。今回の民主党指名争いでは、カリフォルニア州までサンダースは凄まじい粘りを見せた。この死闘は2008年のオバマとヒラリーの戦いにも匹敵するものだ。