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吉野家・松屋・すき家が軒並み好調!「ちょい飲み」は牛丼業界の"救世主"か?
牛丼で読み解く日本経済の今
【PHOTO】gettyimages

苦境の一手が大成功

牛丼チェーン各社が、アルコール類を気軽に楽しめる「ちょい飲み」のサービスを拡充している。

かつて牛丼各社は「デフレの勝ち組」などと呼ばれていたが、インフレ政策を掲げるアベノミクスによって苦戦を強いられてきた。

このところ物価が下落基調を強めていることから、牛丼チェーンには再び市場の注目が集まっているが、現実にはデフレと呼べるほどの物価下落が発生しているわけではない。さらに、実質賃金の低下による需要減少が続き、業績の悪化に拍車をかけた。

割安なサービス一辺倒の経営に限界を感じた各社が、新たな戦略として打ち出したのが、「ちょい飲み」のようなサービスの拡大だ。懐に余裕のないビジネスマンにとっては歓迎なのだが、果たして牛丼チェーンにとって安定的な収益拡大に繋がるのか。

一杯150円という魅惑

牛丼各社は昨年から「ちょい飲み」のサービスを拡充させているが、今年に入って一層アルコールの提供に力を入れるようになった。

吉野屋は約360店舗でアルコールとおつまみを提供する「吉呑み」というメニューを展開していたが、今年度からこれを全店舗(約1200店)に拡大する。

吉野屋の「吉呑み」は、生ビールやハイボールを350円で楽しむことができるほか、牛皿などの定番メニューに加え、子持ちししゃも(250円)、焼きいか(300円)、冷奴(150円)など一通りのおつまみ類も揃う。軽く一杯飲むには十分な内容である。こうしたフルサービスが提供できない店舗でも「吉呑みチョイ」というサービスがあり、品目は少ないものの、同じようなメニューを楽しめる。

松屋も一部店舗でアルコールやおつまみの提供を行っており、生ビール(小ジョッキ)が150円で楽しめるほか、ソーセージ&ポテトサラダなどのおつまみ類も注文できる。小ジョッキは量が少ないので、たくさん飲む人には物足りないかもしれないが、150円という価格設定は魅力的だ。

すき家も昨年から実験的な運営を開始しており、一部店舗でアルコール類とおつまみの提供を開始している。

各社とも、既存店舗においてアルコールとおつまみを出すだけなので、本格的にお酒を楽しむというわけにはいかないが、「ちょっと一杯」が目的なら、けっこう利用価値はあるし、ある程度の来店者は確保できるだろう。

各社がこうしたアルコール類のサービスを強化しているのは、客単価の上昇を狙いたいからだ。そして、この戦略は成功していると言える。実は直近の牛丼チェーン各社の業績はすこぶる好調なのだ。