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イギリスEU離脱は「大恐慌前夜」の予兆か
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6月23日に実施された、英国の欧州連合(EU)からの離脱を問う国民投票の結果、52%の票が離脱に投じられEU離脱が決定した。

直前の6月半ば、英下院議員が銃撃され命を落としたことを境に、世論は残留を支持し、ブックメーカーのオッズでも80%以上の確率で残留が見込まれていた。それだけに市場にとって、今回の結果は予期せぬものだった。

EU離脱が決められたことは、4つの国から成る連合王国の中から、スコットランドと北アイルランドの分離独立ことに繋がることも考えられる。また、EU内部の離脱予備軍の存在を考えると、EUへの求心力の低下にも繋がる恐れがある。EU離脱を求める動きが増えれば、単一通貨ユーロの持続性にも懸念が高まる。

そうしたEUの政治動向の不安定さは、中国経済の減速、米国の景気ピークアウト懸念と同様、世界の景気後退リスクの一つと考えるべきだ。今後の展開次第では、世界経済が1920~30年代の“大恐慌”のような危機的状況に直面することも懸念される。

楽観がもたらした奈落

6月上旬まで、英国世論はEU残留と離脱の狭間で揺れた。金融市場は残留を期待しつつも、離脱に備えて徐々にポンド売りなどのリスク回避に動いた。

6月10日の世論調査では、離脱支持が10ポイント上回り、急速に世界の投資家は英国のEU離脱への懸念を高め、ポンドや欧州銀行株を売り、リスク回避に動いた。これが米独金利の低下につながった。

経済への影響を考えれば、英国はEUに残り、関税同盟(例:英国から欧州向けの自動車輸出にかかる関税はゼロ)などの恩恵を享受すべきだ。離脱が現実となれば、多くの企業が英国に置く拠点を国外に移すと示唆してきた。

冷静に考えれば、英国はEUに残るべきだった。それにもかかわらず離脱が決定されたことは、難民・移民問題への不満や怒りが強かったことを示している。