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孫正義さん、あなたの気持ちはよく分かる!~社長を辞めるのって、実はこんなに難しいんです
〔PHOTO〕gettyimages

偽らざる本音

「ソフトバンクほどの企業グループを一代で築き上げた経営者でもそうなのか?」

これが、孫社長による次期社長に予定していたニケシュ・アローラ氏の退任という事件(?)を知ったときの第一の感想でした。

著者は以前の記事(『原田泳幸、藤森義明…会社を追い出される「プロ経営者」の共通点』)で、オーナーが自分で呼んだ外部招聘経営者を追放するメカニズムについて述べました。そこには合理性以上に感情的な問題が大きく影響するという主張です。こうしたことはこれからも続くと思っていましたが、まさか孫さんともあろう方が、これをやってしまうとは思っていなかったのです。

事件の内容については今更詳しく述べませんが、ここでは改めて、創業経営者兼オーナーの心情について述べたいと思います。

株主総会で孫社長は「自ら経営の一線から引退する、いざその時期が近づくと、やっぱりもう少しやっていたいという欲望が出た」と語っていたそうです。これこそが、偽らざる本音でしょう。

またAIの発展を目前にして、やり残したことがあるとも述べていたようです。あれだけのお金持ちですから、一から別会社を作る道もないではないでしょうが、こうした取り組みたい領域が具体的にある状態で、今まで苦労して作ってきたハコをわざわざ捨てて別のところで作り直して挑戦する理由もないでしょう。

並の経営者なら他人にやらせてその報告を聞くという選択肢もあったかもしれませんが、開拓者であり挑戦者を指向する孫さんとすれば、そんな状態で満足できるとも思えません。ここでは、やることが儲かるかどうかさえ、どうでもいいのです。

そんなケチな話よりも、エキサイティングなことが待っているかどうか――それが彼にとっての重要な要素なのです。もちろん、最終的には儲けることには揺るぎない自信もあるのだと思いますが。