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“誰がやっても同じ”仕事をしないために〜新時代の変革者たちに学ぶ、未来をつくる「5つの法則」

瀧本 哲史

それではなぜ、ユニクロやアップルは自分の国ではなく、遠く離れたアジアの国で商品をつくっているのだろうか?

ここには、ふたつの理由が隠されている。

ひとつは、世界のどこでつくっても、品質に大きな差が出なくなったこと。

そしてもうひとつが、アジアの人たちのほうが安い給料で働いてくれることだ。

きみたちのお父さんやお母さんが中学生だったころ、日本製の電化製品はどれも「日本でしかつくれないもの」で、「日本人にしかつくれないもの」とされていた。日本人ならではの勤勉さ、手先の器用さ、職人的な技術力は世界で称賛され、「メイド・イン・ジャパン」は高品質の代名詞になった。

ところがここに、大きな変化が訪れる。

たとえば、洗濯物を手で洗っていた江戸時代。きっと世のなかには「洗濯がうまい人」と「洗濯が下手な人」がいただろう。誰が洗濯するのかによって、汚れの落ち方も違ってくるわけだ。しかし、いまの時代に「あの人は洗濯がうまい」という話は聞かない。それはそうだろう。洗濯機があれば、誰が洗濯しても同じように洗い上がるからだ。

さて、これと同じことが、工場のなかでも起こるようになったら、どうなるだろう。

工場に最新鋭の機械が導入され、細かい作業はすべて機械がやってくれる。人間がやることといえば、機械の使い方を覚え、動かすことだけ。洗濯機の「洗濯ボタン」を押すのと一緒だ。こうして現在、日本人が誇ってきた職人的な技術や手先の器用さは必要とされなくなり、多くの仕事が「誰がやっても同じ」になってきた。

誰がやっても同じなら、企業は「より給料が安い人」を選ぶ。具体的には、アジア各国に工場をつくり、現地の人たちに働いてもらう。きみたちだって買いものをするとき、中身が同じだったら安いお店を選ぶだろう。お金を払う側としては、当然の判断だ。

もはや「メイド・イン・ジャパン」であることに意味はなく、わざわざ日本人を雇う理由もなくなった。誰がやっても同じ仕事である限り、「安い人が選ばれる時代」になったのだ。

新生・ブルーバックス誕生!