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年間維持費200億! それでも文科省が「もんじゅ」廃炉を決められないバカげた理由
なぜ参院選の争点にしないのか
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年間維持費は200億円!

1994年の初臨界(原子炉での核分裂連鎖反応が一定の割合で継続)から22年で延べ200日強しか稼働していないのに、年間維持費が200億円もかかるという高速増殖炉もんじゅ――。

福井県敦賀市にあるこの壮大な「夢の原子炉」の存続を含めて検討する「もんじゅの新たな運営主体を探す有識者検討会議(有識者会議)」は、5月末、玉虫色の「中間報告」を出した。そこで、受け皿機関の決定は7月10日の参議院選挙後に先送りとなった。

日本の原子力政策のなかでもバックエンドといわれる、再処理から廃棄物最終処分に関する工程は、常に結論を先送りしてきた。

そうせざるを得なかったのだ。

原発で出た使用済み核燃料を溶かしてプルトニウムを再処理工場(青森県六ケ所村)で取り出し、それをもんじゅなどで利用する核燃料サイクルをバックエンドの根幹としながら、もんじゅも再処理工場も実用化のメドが立っていないからだ。

この壮大なムダと管理体制の不備に苛立った原子力規制委員会は、もんじゅ運営主体の日本原子力研究開発機構(原子力機構)に代わって運営する組織を、半年をメドに見つけるよう馳浩文部科学相につきつけた。それを受けて立ち上がった有識者会議が出した結論は、「存続のための条件」を示しただけの形式的なものだった。

原子力規制委の田中俊一委員長が、「勧告に沿った議論がされているように見えない」と、不満をぶちまけたのも頷ける。「廃炉を見据えた勧告」だったのに、文科省は「存続ありき」の議論しかしなかった。

それにしても、文科省の仕掛けは露骨だった。

有識者会議の座長を務めたのは元東大学長で文部相などを歴任した有馬朗人氏(85)。国際的な原子核物理学者として知られる有馬氏は、原子力行政に理解があり、文科省がこの人を座長に据えたのは、「もんじゅ延命」のためである。

その期待に応え、有馬氏は就任時、「廃炉の可能性はゼロではないが小さい」「これだけの資本を投資し、研究者もいるので活用できるものを活用する」と述べ、抜本的な見直しを求める原子力規制委の勧告を、ハナから意に介していなかった。

結果は予想通り。具体的な運営主体にはふれず、その「在り方」については、「研究開発段階炉の特性を踏まえた保全計画の策定・遂行能力があること」「社会の関心・要請を適切に反映できること」といった、誰にでも言えるどうでもいい空疎な言葉が並ぶ中間報告書となった。