エンタメ 週刊現代
絶対王者ジョコビッチに怪優小日向文世……その規格外の生き様を見よ

ジョコビッチの生き様

ノバク・ジョコビッチが全仏オープンを制し、四大大会すべてに優勝する「キャリア・グランドスラム」を達成した。

昨年のウィンブルドンから四大大会では負け知らずで「一強」状態。日本のマスコミは錦織圭の優勝を熱望しているが、容易なことではない。

このタイミングでイングランドのジャーナリストによる『ジョコビッチ伝』が出版された。

5歳の時に実家のピザ屋前にテニススクールが出来て、フェンス越しにじっとその様子を見る子ども。女性のコーチから声をかけられ、その午後からテニスを始めるエピソードは感動的である。

また、10代の頃からプロ意識が高く、練習開始前に十分な準備をするのは当たり前。「偉いわね」と大人に声を掛けられると、「キャリアを無駄にしたくないから」と13歳の少年が答えるのだ! 並みの人間ではない。

この本の特徴は、「公認」の自伝ではなく、あくまで伝記だということ。昨今はマネージメントが発達し、選手にとって不都合な真実は隠される場合が多い。しかし、著者は平気でジョコビッチにとって耳の痛い話を書く。それは、ジョコビッチの父のことだ。

シンプルに言えば、モンスター。テニスの世界では10代の中盤から潤沢な資金力がなければ出世できないが、営業に出向く父はセルビア国内のテニス連盟、企業から色よい返事をもらえない。

父はその恨みを忘れないし、息子にプラスになるためには、どんどん人を切っていく。客席であまりに態度が悪く、ジョコビッチが父親を追い出した話には思わず失笑。

終盤はセルビアの国の話が多くなり、「なんの話?」と不思議に思ったが、原題は「ジョコビッチとセルビアの台頭」とあって、なんとなく納得。

やっぱりスターの話が行儀良くては面白くない。