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複数の愛人にマンション購入…製紙会社の総務部長が15年で25億円横領するまで
移動は「専属タクシー」、そしてギャンブル三昧
〔PHOTO〕gettyimages

普通では考えられない大金を横領していた会社員。高級店に通い、女を侍らせる貴族のような生活のために犯罪に手を染めたのかと思いきや、そこには意外な「事情」があった。徹底取材で迫る。

ビーバーみたいな男

「昨年の5月頃だったでしょうか、羽染さんがやってきて、『今日は大事な話があるんです』という。常連の彼は普段カウンターに座るのに『人に聞かれたくないから』と言うので、2階に上げました。そこで向かい合うと、とんでもないことを口にしはじめた。『実は会社のカネを25億円横領してしまった。私が一人でやったんです』と。

すでに社内調査でこってり絞られた後のようで、『長岡警察署に行って横領の事実を伝えたけど、逮捕してくれない。いっそのこと死んでしまいたい』と弱々しく言っていました」

新潟の第2の都市、長岡。この町の繁華街の一角で割烹を営む男性は、そのときの衝撃をこう振り返った。

羽染政次容疑者(60歳)が警視庁に逮捕されたのは、6月1日のこと。製紙大手、北越紀州製紙の子会社・北越トレイディング(不動産仲介や自動車教習所の運営)に総務部長として勤めていたが、'00~'15年の15年間で、約24億7600万円ものカネを横領していた。

途方もない金額、長期にわたる常習的犯行。横領犯は罪の意識のかけらもない、さぞふてぶてしい男なのではないか—。そんな想像もできる。ところが羽染容疑者の素顔は、それとはむしろ真逆の、小心でいかにも冴えない雰囲気の人物だったという。

知人らはこう口をそろえる。

「身長165cmくらいのぽっちゃり体型。おとなしくて地味なタイプです。人とごはんを食べていても、うなずいて聞いていることが多かった」