格差・貧困 地震・原発・災害 不正・事件・犯罪 週刊現代
「炎上」の研究〜ネットが生み出した名もなき”風紀委員”たちの正体
世間は息苦しくなるばかり
〔PHOTO〕gettyimages

少しでも目立てば、獰猛な獣のような「彼ら」に目をつけられ、あっという間にプライバシーを暴き立てられる時代。世の中の空気はどんどん息苦しくなってゆく。ネットが生み出した怪物の正体とは。

「熊本県民、調子に乗るな」

日本国内で、何らかの形でインターネットを利用している人の数は、今や1億人を突破した。その多くが、ツイッター、フェイスブックなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)や、ブログなどで情報を発信している。

しかし中には、他人の発言の揚げ足を取り、誹謗中傷に明け暮れる者や、有名無名の人々の個人情報を暴くことに熱中する者もいる。いわゆる「炎上」の担い手たちだ。

最近彼らが猛威をふるったのが、4月中旬に熊本で起きた大地震である。巨大ネット掲示板「2ちゃんねる」には、こんな宣戦布告ともとれるような書き込みが——。

〈熊本県民、被災したからって調子に乗りすぎ。俺たちは偽善と売名をこの世から根絶するために戦い続けるからな〉

地震で熊本が注目を浴び、全国から支援の手が差し伸べられることを「偽善」「売名」と考える。にわかには理解しがたい思考だが、彼らはすぐさまターゲットを定め、攻撃を始めたのだった。

地震発生から数日が経つと、寄付や物資の輸送など、被災地支援に乗り出す有名人が現れた。彼らはそれに目を付けた。

〈どう見てもイメージアップ宣伝。宣伝費安く済んで良かったな〉
〈なぜSNSで公表するんだよ。いやらしいな〉
〈この偽善者〉

MLBテキサス・レンジャーズのダルビッシュ有投手の元妻で、タレントの紗栄子が「熊本に500万円の寄付を行った」とSNSで発表したところ、こうした批判が殺到。

一方、女優の長澤まさみは、地震発生直後の14日夜にSNSに笑顔の写真を投稿しただけで、

〈不謹慎だ〉
〈タイミング悪い〉

と叩かれてしまい、写真をすぐさま削除せざるをえなくなった。