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日本のサラリーマン記者よ、「権力を監視する」とはこういうことだ! スノーデン事件に学ぶ「本物の覚悟」
映画『シチズンフォー 』の衝撃

事件が目の前ではじける迫真のドキュメンタリー

昨年、長編ドキュメンタリー部門でアカデミー賞を受賞した『シチズンフォー スノーデンの暴露』。遅ればせながら日本でも6月11日に公開となり、私もすぐに新宿ピカデリーへ行って鑑賞した。想像以上に衝撃的だった。

『シチズンフォー』の題材は2013年に起きたスノーデン事件。米国家安全保障局(NSA)がテロ対策として大量の個人情報を収集していたことが暴露され、世界を震撼させた事件だ。暴露した本人がNSAの外部契約社員だったエドワード・スノーデン氏で、この映画の主人公だ。

私はすでにスノーデン事件関連の記事や書籍を読んでいたので、事件の概要は知っていた。にもかかわらず衝撃的だったのは、当事者が過去を振り返るのではなく、実際の事件が現在進行形で、目の前ではじけていく形で物語が進むからだ。まさに迫真のドキュメンタリーだ。

なぜこんなことが可能なのか。それは監督のローラ・ポイトラス氏がスノーデン氏からの協力要請を受け入れ、ビデオカメラを片手に事件の一部始終をリアルタイムで記録していたためだ。

撮影の主舞台は、米国政府に捕まれば終身刑必至のスノーデン氏が身を隠していた香港のホテル。2013年6月、ポイトラス氏はジャーナリストのグレン・グリーンウォルド氏とともに同ホテルへ行き、「シチズンフォー」というコードネームを使って交信していたスノーデン氏の正体を初めて知る。以後、8日間にわたって同氏を密着取材したのである。

監視カメラを警戒して赤いカバーで上半身を覆いながらパソコンを立ち上げる。ホテルのアラームに驚いてみんなと一緒に体をこわばらせる。事件をスクープしたグリーンウォルド氏が出演するテレビ番組を生で見る。脱出前に鏡の前でひげを剃って変装する――。

そんなスノーデン氏の姿を捉える『シチズンフォー』はスパイ映画であると同時にリアリティ番組のようだ。ちなみにポイトラス氏本人は映画に登場しない(グリーンウォルド氏は主要登場人物の1人)。

監督のローラ・ポイトラス氏 〔PHOTO〕gettyimages

「スノーデンのPRを手伝っただけなのか」と思ったら大間違いだ。

スノーデン氏に協力するのは非常に危険な行為だった。NSAによるスパイ活動を暴露しようとしていた同氏に加担していると見なされれば、国家最高機密の漏洩の罪に問われて刑務所送りになる可能性もあった。「言論の自由」を保障されたジャーナリストであっても、である。

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