医療・健康・食 週刊現代
「切るしかない」にダマされるな! がんでも受けてはいけない手術
手術至上主義はおかしい
〔PHOTO〕gettyimages

切ったらむしろ悪くなる

「がんは千人千様、がん細胞の性質が異なります。単純に、原発のがん(最初にできたがん)を切除できれば治るとか、長生きできると考えるのは誤りなのです。

周囲への浸潤の強いがんを無理に切除しても、散らばっている目に見えないがん細胞を全部切除することは不可能で、手術後の後遺症で苦しんでいるうちに、間もなく再発します。

高度に進行したがんに対して無理に切除手術をすると、がん細胞の遺伝子が変化して悪性度が高くなることがあるのです」

多摩がん検診センター所長などを歴任し、日の出ヶ丘病院のホスピスでがん患者の緩和ケアに携わってきた小野寺時夫医師は、こう話す。

がんは、取るしかない。患部をすべて取り切るには、やはりメスを身体に入れるのが一番だ——。

かつては、多くの医師がそんな風に考え、「もう切るしかありません」と患者に手術を勧めてきた。

だが現在では、放射線治療の技術も向上。作詞家のなかにし礼氏をがんから生還させたことで知られる陽子線治療なども登場した。さまざまな抗がん剤も開発され、治療の選択肢は大幅に増えている。

ところが、いまだに一部の医師は古い考えを捨てられず、「とにかく切りましょう」と手術を主張するのだ。

こんな実例もある。

埼玉県在住だった当時58歳の男性は、初期の膵臓がんと診断された。がんのサイズは1cm以下。担当医は「小さくてよかった。取ってしまえば治ります」と手術を勧めた。

ところが手術から半年後、男性はがんが再発したと知らされた。手術でがんを切ったことでがん細胞が全身に散り、複数の臓器に転移したのだ。多発したがんはもはや手術では取りきれないとされ、抗がん剤治療を続けたが、約1年の闘病生活後、世を去ったという。