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マル暴刑事が起こした警察史上最大級の不祥事!映画『日本で一番悪い奴ら』白石和彌監督インタビュー
日本で一番悪い奴ら』2016年6月25日に全国ロードショー

「これは絶対映画になる」

―最初に白石監督がこの『日本で一番悪い奴ら』という映画を撮ろうと思われたきっかけをうかがえますか。

前作の『凶悪』(2013年公開)が公開されて、いろいろな評価をいただいたんですが、その中に「白石さんはマーティン・スコセッシ(映画監督)の『グッドフェローズ』(1990年公開)みたいな作品をやったらどうですか?」と言ってくださる方がいて。

自分も次は何をやろうかなと考えてはいたんですが、それ聞いて「ギャング? それともマフィア? 日本を舞台にしたらヤクザってこと?」と思いつつ、日本にはそんな題材はないと諦めていたんです。

そんなとき、2014年の正月でしたが知人に不幸がありまして、その通夜の席で脚本家の池上純哉さんにお会いしたんです。池上さんは映画界では僕のちょっと先輩で、もう10年以上もつき合いのあった方です。

会うのは久しぶりだったんで「ちょっと献杯しない?」という話になり帰りに2人で居酒屋に寄ったんです。そうしたら池上さんが「実はさ、こういう本を読んだんだけど(映画化を)やりたいんだ。宙ぶらりんの状態でなかなかいい反応してくれる人がいなくて。白石さん、読んでみてくれない?」っておっしゃって。それが『恥さらし 北海道警悪徳刑事の告白』(稲葉圭昭著/2011年・講談社)でした。

読み始めてすぐに「あ、こいつら警察って看板掲げたギャングだ。これは絶対映画になる」と思いました。すぐに池上さんに「これ、やりましょう」と返事をして、一緒にプロットを作り始めたんです。

個人では抗えない組織の「正義」

―『恥さらし』では、元警察官が、自らによる現役時代の犯罪を赤裸々に告白しています。その犯罪自体、前代未聞の驚くべき内容です。

単行本の帯に「覚醒剤130キロ、大麻2トン、拳銃100丁」とデカデカと書かれていて、最初に見たときはホントかなと思ったんです。伝聞の伝聞みたいな情報にあった数字をピックアップしてキャッチにしたんじゃないの、と。でも読んでみたら著者の稲葉さん自身が告白した数字だった(笑)。

確かに前代未聞の、にわかには信じがたい犯罪なんですが、ひとつひとつの数字が示す犯罪のスケールに着目して“映画になる”と思ったわけではないんです。不思議な話ですが、読み進めていくにつれて、僕は稲葉さんという人間に共感してしまったんです。