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三菱東京UFJが日銀に「ノー!」を突きつける異常事態〜成長戦略なきアベノミクスの罪と罰
マイナス金利の弊害あきらかに
〔PHOTO〕gettyimages

国債入札の優遇資格返上の衝撃

報道によると、メガバンクトップの三菱東京UFJ銀行は、国債の入札に特別な条件で参加できる“日本版プライマリー・ディーラー”の資格を返上する検討に入った。早ければ今週中にも、財務省に対し、正式に伝えるという。

国債の利回りが過去最低を更新し続ける中で、特権の代償として課される一定額の応札義務を果たすことが同行の株主や預金者の利益にならないと判断したためだ。小山田隆頭取は10日の記者会見で、「特別参加者として落札業務をすべて履行していくのは難しい」と述べ、「(資格返上を)検討している」と明言した。

“護送船団”方式が長年定着してきた日本の金融界で、民間銀行が御上の威光ではなく、株主や預金者の利益に軸足を置いて経営判断を下すのは、勇気のいる行為だ。実現に期待したい。

今回の資格返上は、黒田東彦日銀総裁が進めているマイナス金利付きの量的・質的金融緩和策の弊害を改めて浮き彫りにした。参議院選挙を来月に控えて、肝心の成長戦略を怠ってきたアベノミクスの功罪が改めて問われていることも重要だろう。

日本版プライマリー・ディーラーの正式名称は「国債市場特別参加者」という。日本では、1960年に導入された米国のプライマリー・ディーラー制度などを参考に、財務省が2004年に導入した経緯がある。

現在、国債を発行する際の入札には、銀行、証券会社、生命保険など246社が参加している。が、市況次第で、入札に参加したり、しなかったりする金融機関が出るため、このうちの22社にプライマリー・ディーラーの資格を与えて安定消化を図ってきた。

プライマリー・ディーラーになると、発行予定額の4%以上の応札を義務づけられる半面、財務省理財局との意見交換の場に出席する特権を与えられる。