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「強みのない銀行に残された時間は少ない」森金融庁長官の発言が意味すること
金融庁の本気に地域金融は戦々恐々
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『捨てられる銀行』(講談社現代新書)を世に送り出して1ヵ月。銀行、信金、信組など金融界、金融庁、或いは業界外の様々な方々から予想を超える反響をいただいた。

顧客本位とは名ばかりで、実は営業成績の数字づくりしか考えていないトップは「痛いところを突かれた」と見て見ぬふりをしているかもしれないが、地域金融への志を抱く金融マンが不条理な営業ノルマを課されながらも、現場を必死で支えていることが大変よく分かった。

「センセーショナルな題名だ」とのご批判もいただいたが、実は筆者としては「それどころか、もう少し強い表現でも良かったかもしれない」と悔悟の念を抱き始めている。

というのも、金融庁が、顧客を見ず、地方創生に貢献しない地方銀行のあぶり出しに本腰を入れるのが、いよいよ確実になってきたからだ。

「残された時間は少ない」

森信親・金融庁長官は5月18日の全国地方銀行協会(地銀協)、19日の第二地方銀行協会の例会に出席し、顧客を見ない規模拡大の低金利貸出競争は限界であり、法人・個人の双方に対する顧客本位の密着営業「リレーションシップ・バンキング」を経営の根幹に据え、戦略的な経費節減に取り組むよう求めた。

森長官は発言の締めくくりに際し、何かを含むように一段と語気を強めた。

「地域金融機関が創意工夫して、環境変化への対応を積極的に進めており、これには私も大変勇気づけられる。こうした傾向はさらに加速すると予想される」

これは、一部の金融機関が営業ノルマを撤廃したり、本業支援に経営資源を傾注することで、顧客満足度を高めながら、利ざやが下げ止まっていることを念頭に置いた評価する発言だ。

そして、次の一言が例会に出席した地銀トップを震撼させた。

「裏返して言うと、従来型の銀行経営がより低収益化してくる中で、これといって強みのない銀行に残された時間は少なくなってきている。金融庁として将来を見据えた対応を行っていくつもりだ」

地銀業界では、金融庁がどのような監督行政を打ち出し、何を目指しているのか、戦々恐々となっている。

昨年7月、森信親氏が金融庁長官に就任してから金融庁が進めている地域金融の改革についての動き、森長官の真意、180度の転換の骨子などは『捨てられる銀行』を読んでいただくとして、ここでは『捨てられる銀行』以降の改革の進展についてレポートしておこう。

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