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トランプの金髪は「パーソナル・ブランディング」の一環!? 国際ビジネス・コンサルタントが明かす米大統領候補の戦略
島地勝彦×植山周一郎【第2回】

撮影:立木義浩

第1回【若きトランプの写真はこちらから

植山 たとえば、メキシコとアメリカの国境に万里の長城みたいな壁を作るとか、日本と中国はけしからん!とかいって話題を掻き立てているんだけど、彼がしゃべっている相手は、日本でも中国でもメキシコでもなく、アメリカの選挙民なんです。

ぼくは高校生のとき1年間アメリカに留学していたんだけれど、そのとき住んでいた町がシカゴから100キロ西に入った、周りにはトウモロコシ畑と麦畑しかないようなド田舎だったんですね。その畑のど真ん中に農村があって、サンドイッチという町だったの。

シマジ サンドイッチか。名前がいいね。周ちゃんはどこの高校から留学したの?

植山 都立西高の高校生だったの。

シマジ 西高っていったら、都立のトップ校だよね。周ちゃんは昔から優秀だったんだ。

植山 いやいや、たまたま入れちゃったんですよ。でね、サンドイッチの人口の9割は白人、それもアングロサクソン系の、北ヨーロッパ出身者で、イギリス、ドイツ、スカンジナビア系の子孫が多い。ヨーロッパの南のほうのイタリアやスペイン系はあんまりいなかった。いてもなんとなく軽蔑されてしまう。ましてやメキシコ系や黒人なんてほとんど住んでいないわけ。

ですから彼らは「おれたちアングロサクソンがアメリカを作ったんだ」という誇りを強く持っているんですよ。

シマジ 先祖がメイフラワー号に乗ってアメリカにやって来たんだもんね。

植山 まさにそうです。ですから自分たちこそがアメリカの「主流」だと思っている。黒人とかメキシコ人とか中国人や日本人なんてとんでもないと、こころの奥底では思っている。おれたちが作ったアメリカという国は世界でいちばんなんだという自負心が非常に強いわけです。

だいたい、共和党のほうが民主党より多いんです。彼らの頭のなかには白人至上主義というかモンロー主義みたいな「アメリカが世界でいちばん」という本音があるのだけれど、それを表だっていってはいけないこともよく知っているわけね。

アメリカでは黒人に対してブラックとかにニグロという言葉を使っちゃダメで、「アフリカン・アメリカン」という言葉をわざわざ作った。でも、そういう回りくどい言い方しかできないのが、彼らにしてみれば歯がゆい。

そこへトランプが現れて、彼らの本音をドーンと代弁してくれている。だから、ごく平均的な白人の中産階級、普通の人々のこころの琴線にふれたんじゃないですかね。