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米経済はピークを迎えた!?
市場を失望させたある重要な統計数値

6月3日に発表された5月の米雇用統計は、非農業部門の雇用者数が前月から3万8千人増となり、16万人程度とみられていた市場予想を大きく下回った。

過去2ヵ月分の雇用者数の増加も下方修正された。今回の統計を見る限り、米国の雇用市場の改善傾向に一服感が出ている可能性がある。

雇用統計発表後、市場の利上げ予想は大きく後退した。投資家は、米国の利上げが遠のき低金利が続くことを好感する一方で、米国の先行きに対する懸念は徐々に高まる可能性がある。その結果、5月に進んだドル買いの反動で、円安に振れていたドル・円レートは再び円高方向へと動いた。

景気のピークを迎えつつある米国経済

今回の“失望”といえる米国の雇用統計は、雇用改善のペースが鈍化しているとの見方を強めるだろう。通信企業のストライキの影響で一時的に3万5千人程度の雇用の減少がカウントされたとはいえ、16万人増の事前予想との差はあまりに大きい。

一方、失業率は4.7%に低下した。これは労働市場の需給の緩みが引き締まったことを示している。このため景気への懸念ばかりを指摘するのは適切ではないかもしれない。しかし、低調な雇用者数の増加を見ると、米国の景気が徐々にピークを近づいている感触がある。

景気のピークが近づく中、米国の金融政策は難しさを増す。雇用統計発表後、米国の金利先物が示す6月の利上げ確率は3%台に急低下し、7月、9月の利上げ確率も低下した。それは、経済が利上げに耐えられないという見方を反映している。FRBは5月中旬以降のような利上げに対して積極的な姿勢を取りづらくなるはずだ。

当面、FRBは慎重な金融政策の運営を強調せざるを得ない。これまでの発言を踏まえれば、イエレン議長らの頭の中には利上げで割高な資産価格を是正し、景気の持続力を高めたいとの考えがあるはずだ。

しかし、市場の利上げ予想が急速に後退している以上、利上げの可能性を仄めかすことは容易ではなくなりつつある。

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