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ハリウッドで「スーパーヒーロー映画」が量産される理由〜そして、ヒーローたちは「正義」について悩み始めた

スーパーヒーロー映画が多すぎる!

通称「アベンジャーズ」シリーズの11作目、人気ヒーローたちが全員集合する「集大成」のさらに「続編」として製作された『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』(2015年)の予告編を見て、筆者は思わず嘆いてしまった。

ハリウッドのエンターテインメント大作には目がなく、新作が公開されれば惜しげなく映画館に通う身としては、予告映像を素直に喜べないのは不慮の事態だった。

アメコミ映画の「飽和状態」が、本国で囁かれるようになったのもその頃である。ニューヨーク・タイムス曰く:

「また夏が訪れ、また新たなスーパーヒーロー映画がやってくる……『〜ウルトロン』を絶賛する人もいるだろうし、酷評する人もいるだろうし、またその存在自体に呆れて、欠伸する人もいるだろう。だがクオリティなど重視されないこの手の作品にとって、観客の反応は無意味に等しい。『〜ウルトロン』のような映画は、興行成績で圧勝し、メディアと観客の抵抗を蹴散らすために製作されるのだ」

今度ばかりは止そうかと悩んだ挙句、やはり大作映画の魅力には抗えず、筆者は『〜ウルトロン』を観に行った。そして映画が始まってしまえば、案の定、大いに楽しむことができた。

だがなんとなく、嫌な後味が残った。この映画を、無邪気に楽しんで良かったのだろうか? 観客を軽視して、同じような映画を次から次に作る製作者に、まんまと騙されてはいないだろうか?

一度宿った懐疑心は、簡単に拭えない。氾濫するスーパーヒーロー映画の渦中、筆者は恐ろしいことに、エンターテインメントを楽しむ者として失格な、「シニカル(冷笑的)な観客」と化してしまったのだ。

映画という娯楽の「単一化」

だが、シニカルにもなってみたくなるものだ。

マーベル製作の「アベンジャーズ」シリーズは、最新作まで13本の累計興行収入が約100億ドル(約1兆1,000億円)と、「ハリー・ポッター」や「007」シリーズを差し置いて、史上最高記録を更新し続けている(2016年5月現在)。

各作品の製作予算が公表されているため、これを合算すると24億ドル(約2,600億円)、つまり単純計算でも、13作で約76億ドル(約8,300億円)の利益を稼ぎ出したことになる。加えて、商品化などによる副収入も鑑みると、「アベンジャーズ」が誇る経済力の全貌が垣間見えてくる。