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第68回 スポーツ女子会始めました

パラスポーツの現場から1605 突然ですがスポーツ女子会を結成しました。
とは言っても会長を選ぶわけでも会則があるわけでもない、周囲の関係者有志で始めた集まりです。女子会ですが、男子もいます。
先日、結成記念のお食事会をしました。そこでいろいろと話をしました。「地域でスポーツをする」と「女子がリードする」です。

まず「地域でスポーツをする」について説明します。私はパラスポーツの体験会で様々な地域へ出かけます。そのときに感じるのが、2020年東京オリンピック・パラリンピックに対する東京やその周辺都市との温度差です。
特に最近は東京やその周辺にいるとオリンピック・パラリンピックは結構、身近に感じられます。しかしそのほかの地域ではそうではありません。「オリンピックっていつだっけ?」「20…何年だったっけ?」と。このまま2020年を迎えたら、東京とその周辺だけが盛り上がって、その他の地域にとっては「関係のない何か大きなイベントだった」ということにもなりかねない。そんなことを危惧しています。
 
そもそもスポーツというのは身近に存在すべきものです。スポーツをする、スポーツを見る、スポーツを支える。そのすべてのことを日常的に住んでいる場所で行うものです。そのためにはスポーツに触れる機会や場があることが重要になってきます。
そうすれば遠く離れた場所、たとえば東京で行われるオリンピック・パラリンピックも、その延長線上のものとして捉えられ、距離に関係なく身近に感じられることでしょう。
 
最近はサッカーのクラブチームも増え、野球の独立リーグも定着、またバスケットボールのB.LEAGUEも始まります。地域でスポーツに親しむ環境が整いつつあります。
それをもう一歩進めたい。そのためにスポーツ女子会はいろんなところへおじゃましてスポーツを身近なものとして親しむ機会を持ってもらおうと考えています。
 
(写真:。カープ女子の効果もありファンで埋まるマツダスタジアム) さてもうひとつの「女子がリードする」についてです。「なぜ女子?」という方に説明しましょう。みなさんは「カープ女子」という言葉を聞いたことがありますか? プロ野球の広島カープを応援する女性ファンのことをこう呼んでいます。阪神なら「TORACO(トラコ)」、オリックスは「オリ姫」など、他球団の女性ファンにも愛称がありますが、カープ女子はその先駆けです。
 
昨年9月に広島市と球団がマツダスタジアム来場者に行ったアンケートでは、女性ファンの割合が56.8%と半数以上を占めていました。マツダスタジアム開業以来、このアンケートで女性客が男性客を上回ったのは初めてのことです。
さて女性客が増えると何が起きるか。広島ではグッズなどの売り上げが増えたと聞いています。こうした経済効果の他にもうひとつ女性ファン増加の効果は、「女性ファンは誰かを連れてくる」というものがあります。
 
これは自身も「カープ女子」である筆者(伊藤)の体験ですが、マツダスタジアムに限らずカープ戦の観客席で周りを見ると、だいたい女性ファンは誰かと連れだって観戦しています。例えば家計を預かる奥様がカープファンなら野球観戦は立派な家族団らんの場所となります。彼女がカープファンならデートの場所は3回に1回はスタジアムになるでしょう。これは他の趣味でも同じです。ランニングが趣味の女性がいれば、彼氏も一緒に走るでしょう。
 
逆に男性だけがファンの場合にはこうはいきません。1人だけ球場に通う「お父さん」に、家族の風当たりは強く、デートでスタジアムに誘おうものなら「もっとロマンチックな場所がいい」と言われ、今度の日曜は「マラソン大会に出る」と言えば、「デートよりマラソンが大事なの?」と言われるかもしれません。
 
つまり、女性がスポーツに興味を持つと、男性も、家族も一緒にスポーツに親しむことになるのです。くどいようですが、この逆は成り立たないのです。「スポーツ」と聞くと、「競技」や「体育」をイメージする方も多いのですが、もっともっと身近で楽しいものをイメージできるような活動をしていければ、と考えています。
スポーツ女子会に、どうぞご期待下さい。
 
伊藤数子(いとう・かずこ)プロフィール>

新潟県出身。パラスポーツサイト「挑戦者たち」編集長。NPO法人STAND代表理事。スポーツ庁スポーツ審議会委員。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会顧問。STANDでは国や地域、年齢、性別、障害、職業の区別なく、誰もが皆明るく豊かに暮らす社会を実現するための「ユニバーサルコミュニケーション事業」を行なっている。その一環としてパラスポーツ事業を展開。2010年3月よりパラスポーツサイト「挑戦者たち」を開設。また、全国各地でパラスポーツ体験会を開催。2015年には「ボランティアアカデミー」を開講した。著書には『ようこそ! 障害者スポーツへ〜パラリンピックを目指すアスリートたち〜』(廣済堂出版)がある。