雑誌 医療・健康・食 週刊現代
いま医学界で大問題!
「耐性菌」の急増でクスリが効かなくなっている

抗生物質「濫用」の果てに
〔PHOTO〕gettyimages

20世紀に発明されて以来、人類を感染症から守ってきた抗生物質。だがその濫用の結果、クスリが効かない「耐性菌」が続々と発生……「悪夢の細菌」と呼ばれる新しい脅威が私たちに迫っている。

院内感染で爆発的に広がる

「その患者さんは治療が長期化していて、免疫力も弱まっていたのでしょう。心臓手術の後、人工弁に耐性菌が増殖してしまった。隔離病棟に移して必死に治療しましたが、残念ながら亡くなりました。手術自体はうまくいったと思っていただけに、ショックは大きかったですね」

こう語るのは関西の大学病院に勤める心臓外科医だ。

耐性菌——その名前を聞いたことがあるだろうか。

20世紀初頭、抗生物質が発明され、これまで人類最大の脅威だった感染症は克服されたかに見えた。だが、安心できたのも束の間。抗生物質に耐性のある強い菌が生まれ、新たな脅威となりつつある。それが耐性菌である。

英国のある研究機関の報告書によると、'13年の耐性菌による死者は世界で70万人。だが、現在、耐性菌は猛烈な勢いで多様化し、増殖しており、2050年には年間の死者数が世界で1000万人に上ると推定されている。

このような事態を重く見たWHO(世界保健機関)は、各国に対策を呼びかけており、伊勢志摩サミットでも、耐性菌問題は主要な議題の一つとして取り上げられることになった。

4月16日にはこの問題を話し合うため、東京でアジア太平洋地域の閣僚級会合も開かれた。日本政府も抗生物質の使い過ぎを改めるなど、耐性菌拡大を防ぐための行動計画をまとめた。

いま、世界の医学界、保健機関が恐れおののいている耐性菌とは、どのようにして生まれたのか。