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なぜいま「酒の安売り」を規制するのか!?
与野党談合、財務省もグル。国の“庶民いじめ”に終わりはない

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なぜこのタイミングで?

庶民の生活に直結するにもかかわらず、ほとんど議論されぬまま、成立しようとしている法案があるのをご存じだろうか。

「酒税法及び酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案」だ。

この長い名称を見ても、意味がまったくわからない。この法案が、大手量販店による「酒の安売り」を規制する法案であると気付く人はほとんどいないだろう。

これが成立すれば、原価割れなどの格安の価格で酒を売った店に対し、財務大臣が改善命令や罰金、さらには販売免許取り消しまでできるようになる。すでに衆議院を通過。本稿執筆時には、参議院の財政金融委員会での審議を通過した段階だが、5月27日に開かれる予定の参院本会議で可決し、今号の発売日までには成立している見込みだ。(※この改正案は見込み通り成立した)

これを聞いて、「酒を安く売ろうという企業努力を国がなぜ規制しようとするんだ!」と憤る消費者は多いだろう。しかもまともに審議されないまま可決されるのであればなおさらだ。

なぜ、そんなことになるのか。

もともと、自民党は、大手量販店との価格競争に勝てない中小酒販店の政治団体から陳情を受け、昨年この法案を成立させるつもりだった。しかし、安保法案の審議が予想以上に難航したため、それに悪影響を与えないようにと、国民受けの悪そうなこの法案を引っ込めたという経緯がある。

民意を気にするならば、今回も参院選前に出すのは止めておこうとなりそうなものだが、そうはしなかった。なぜなら、この法案こそ逆に、重要な参院選対策だからだ。

酒販組合は全国津々浦々にある。酒屋は地域の商店街の顔役で、商工票を取りまとめる力を持っている。政党からすれば、酒販組合や商店街は大きな票田。何としても支持を取り付けたいと考えるのは当然だろう。だから、この法案が最優先で成立してしまう。