防衛・安全保障
世界的にもこんなの異常だ! 在日米軍だけがもつ「特権」の真実
沖縄女性遺体遺棄事件から考える
沖縄で何度悲劇が起きれば、私たちは気付くのだろう〔photo〕gettyimages

文/伊勢﨑 賢治

 日米は「対等」ではない

沖縄で、また悲劇が起こってしまった。

被害者への思いは当然だが、ある怒りが、静かに、こみ上げてくる。それは、米軍属の被疑者へというより、我々日本人の「不感症」への怒りだ。

今回の悲劇を、同胞女性を守れない男子の"男気"、もしくは凶悪犯罪の"比率"の問題に置き換える向きがあるが、非常に遺憾である。

これは、国内に国内法が及ばない世界を内包するという、一つの異常事態をどう捉えるか、の問題である。

いわゆる外交特権の話ではない。外交官が享受する外交特権は、その在留国の国内法による訴追の免除であるが、大使館を置き合う国同士が、それぞれの外交官に対して、「互恵的」、つまりお互いに認め合うものである。つまり、関係は、対等。

日米地位協定は、互恵的、つまり対等ではない。軍事基地を置き、同協定で定める特権を受けるのは、アメリカのみで、その逆はない。日本の自衛隊がアメリカ国内に基地を置き同じ地位協定の特権を得られる、という話ではない。

今回の沖縄の遺体遺棄事件は、日米地位協定上の「公務外」のものだ。それに対して「公務内」の事件であれば、軍事業務上の過失であるから、アメリカに第一次裁判権があり、軍人であれば米軍法で。今回の被疑者のように軍属(米軍と契約関係にある米国籍の民間人)であれば軍事域外管轄権法で裁かれる。

「公務外」つまり軍事業務上の過失でない場合は、軍人も軍属も、日本に第一次裁判権があるが、米軍が被疑者を先に確保したら、身柄は日本側に渡さなくてもいいことになっている。

つまり、被疑者にとっては犯行後即座に基地に逃げ込むのが一番なのだが、今回の事件では、米軍より先に県警が身柄を確保したので地位協定特権が壁にならなかった。それは単に、この仕組みのお陰なのだ。

だから、今回の事件を、日米地位協定の問題ではないという言説は、根本的に間違っている。