読書人の雑誌『本』 ブルーバックス

人気博士が教える「心をグッとつかむ話」のコツ

95%以上の学生が満足!
森 和俊

と、ここまでの話で、すでに難しいなぁと感じてしまった人もいるかもしれませんね。私も高校時代は生物学は大の苦手でした。暗記中心の試験科目としか思えなかったからです。

しかし、実際の生命科学の世界はまだまだ謎が多く、つねに新しい発見があり、新鮮な驚きで満ちています。細胞の中では、分子のレベルから生命現象を支える巧妙なメカニズムが働いていて、本当によくできているなぁという感慨でいっぱいです。

そうした生命科学の面白さを伝えたくて、教授になってから12年半ですが、この間に授業・講演中に寝られないような工夫をいろいろと重ねてきました。

講義は、専門分野への知的好奇心を持ってもらうきっかけだと考えています。面白いと思えば自分からもっと勉強するでしょう。だから、それほど教え込む必要はないと考えています。

ときどき息抜き的な小話を入れながら、「わかって面白い」授業を目指してきました。現在では、私の授業で寝る学生をほとんど見なくなりました。

専門の講義以外にも、京大には文系理系双方の学生が履修できる全学共通科目があり、私もそこで生命科学入門の講義をしています。文系学生や、高校時代に生物を選択しなかった理系学生が相手ですから、どのように授業を行うか試行錯誤しました。

その結果、今では受講した学生の95%以上が面白かった、楽しかったと感想を書いてくれるようになりました。