「1億円の接待費」「象1頭600万円」「ハードボイルドなパイプカット」……語り継がれる豪傑たちの伝説
第14回ゲスト:西木正明さん(後編)
〔写真〕峯竜也 〔構成〕小野塚久男 〔撮影協力〕Bar Tendely
大人の遊びを知り尽くした伝説の編集者・島地勝彦が、ゲストとともに“男の遊び”について語り合う「遊戯三昧」。第14回目となる今回は、直木賞作家・西木正明さんをお迎えした。雑誌の黄金時代を経験した2人の元編集者は、いったいどのような接点を持っているのか――。 (【前編】はこちらをご覧ください)

出版界の伝説にもなった「1億円の接待費」

日野 お二人はイケイケな雑誌の編集部にいらしたわけですが、やはり武勇伝的なものも多いのでしょうか?

西木 お互いに意識しているのは間違いなかったから、いろんなウワサを聞いたね。でも、シマジはお金に関する逸話が多かったな。

日野 金遣いが荒い、という話でしょうか、やはり。

島地 使うべきとき、使うべき場所にドンッと使って何が悪い。俺が最もお金を使ったのは、広告部の担当役員の頃だったと思いますね。広告部に移った当時、年間の売り上げが160億円くらいでしたが、部のみんなを集めて、一席ぶったんです。

「いいか、今年は200億円を目指す。そのためには金をケチるな。それぞれが1億使って10億儲けるつもりでいれば、200億なんてあっという間だ」って。

西木 豪快でいいね。今はどこも、お金の使い方がセコいというか、使い方を知らない。

島地 そう。結局、その年は接待費だけで1億円近く使いましたよ。でも、それをはるかに上回る売り上げがあって、200億円はあっという間でした。接待といえば、電通の成田豊さんが専務だった頃、料亭でお会いしたのはいい思い出だね。

成田さんは作家の梶山季之さんと若い頃からの親友で、俺もシバレン先生の伝手で梶山さんと昵懇だった。梶山さんからは常々「島地、お前は将来きっと出世する。困ったことがあったら電通の成田を訪ねろ」と言われていた。

それがずっと頭にあって、役員になったとき、梶山さんの言葉に従うなら今だと、成田さんに連絡をとったんだよ。会食して、梶山さんの話でひとしきり盛り上がると、「島地さん、困ったことがあったら私が力になるから」と。そこから電通との取引がドーンと増えたんだから。

西木 シマジは昔から人の縁をつなぐのがうまい。そこはかなわないな。