ライフ
なぜ欧米人は座禅に失敗するのか?苦しみの本質は心の暴走にあった
佐々木俊尚×山下良道
佐々木俊尚さん

ジャーナリスト・佐々木俊尚さんと、『アップデートする仏教』で話題の鎌倉一法庵住職・山下良道さんの対談レポート。ビジネスの世界でも注目される「マインドフルネス」について語った前半に続き、後半ではシンキングマインド」や「青空」というキーワードをもとに、自我の暴走や身体の重要性などを読み解きます(構成・草野美木/写真・市川守)。

こころの暴走が苦しみの本質

佐々木 欧米では、座禅を組む人も増えていますが、ほとんどの人が失敗します。理由は、ロジカルなルールをマニュアルのようにするけれども、強すぎる自我を捨てられない、ということが起きてしまう。

必死で頑張って瞑想すること自体が間違いであって、自分自身の自我に対して別の自我をぶつけているにすぎない。自我と自我が戦っているうちは、自我を超えられない――。これはどう捉えればよいのでしょうか。

山下 私は自我のことを、もう少し具体的に「シンキングマインド」と呼んでいます。一日中、シンキング、つまり考えごとをしているこころのこと。これは、もうほとんどのひとにとって、空気みたいに自然なことだから、なかなかその存在に気づけません。

でも、時々我々のシンキングマインドは暴走して、苦しみを生みます。そのときになってようやく、どうも苦しみを生むなにかの存在に気づくわけです。

暴走するとはどういうことかというと、未来に対して、勝手に不安なストーリーを想像して、心配が止まらなくなってしまう。過去に対して、一週間前にあった嫌な出来事を、何回もこころのなかでリプレイして、そのたびに嫌な思いをする。

そんなふうに我々のこころは暴走するのですが、その暴走そのものが我々の苦しみの本質なんだということを徹底的に見ることが大切です。

でないといきなり「気づきがあなたを救う」なんて言われても分からないじゃないですか。

佐々木 脈絡ないですもんね。

山下 ないですね。要するに、気づきの意味が非常に曖昧だったのです。みなさんだって、普段からあそこに木があるとか、信号が赤だとかに気づいてますよね。でもこのようなレベルの気づきが、どうして苦しみを救ってくれるのか、ぴんときませんね。

だから、マインドフルネスとは気づきのことといっても、その気づきをもっと深くとらえる必要があります。気づいているのはいったいどういう心?いったい誰という問題ですね。

山下良道さん
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