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グローバル企業が注目する「マインドフルネス」~その本当の起源はアジアの仏教だった
佐々木俊尚×山下良道
佐々木俊尚さん(左)と山下良道さん(右)

ジャーナリスト・佐々木俊尚さんが各分野で次の時代を切り開こうとしている人にインタビューする本連載。今回は、佐々木氏が主宰する有料会員制コミュニティ「LIFE MAKERS」での対談レポートをお届けします。

お相手は、新しい仏教のかたちを提唱した『アップデートする仏教』で話題の山下良道さん。近年、GoogleやAppleなどIT企業を中心にビジネスの世界で「マインドフルネス」が注目されています。いったいなぜでしょうか?(構成・草野美木/写真・市川守)

AppleやGoogleが影響を受けた「禅」

佐々木 近年、日本でも「マインドフルネス」という言葉を耳にするようになりました。まずマインドフルネスがグローバル企業に受け入れられるようになった背景を教えていただけますか?

山下 Apple共同創業者のスティーブ・ジョブズという人がいましたよね。日本では「コンピュータの人」という印象があると思いますが、アメリカでは「禅の人」のイメージもあります。

アップル製品のシンプルな洗練された美しさは、禅から来ていると思われています。ヒッピーだったジョブズがインドから戻ってきて、コンピューターを通して新しいものを作った。そのときに頼りにしたのが、実は日本から来た禅だったのです。

1970年代にサンフランシスコの禅センターに鈴木俊隆という禅僧がやってきて、ジョブズは彼の影響を受けたことがわかっています。まずそのことがひとつの背景としてあります。

もうひとつは、セラピーです。アメリカでは、マインドフルネスが心療内科の分野で非常に大きな影響を持っています。鬱や精神的な病で悩んでいるひとがたくさんいる中で、「薬で治す」のが主流ですが、同時にさまざまな弊害があることもたしかです。できれば薬を使いたくないというところからはじまり、最も効果が見られたのがマインドフルネスだったと言われています。

佐々木 自分で生きていることのつらさをどう乗り越えるかというお話だと思うのですが、AppleやGoogleにはそういう課題はないですよね?

山下 微妙なところなのですが、Googleでバリバリ働く人たちに悩みがないかと言ったら、当然人間なのであります。社会生活ができないほど強い悩みではないかもしれないけれども、不安や悩みは当然あるでしょう。それが仕事の質を落とすこともあるでしょう。

そういう人たちに対して、Googleはマインドフルネスに基づいた社員研修のようなものを始めたのです。「Search Inside Yourself」というプログラムですが、まずGoogle社内で行われ、非常に効果があるとみられたので多くのひとが受講するようになり、やがて社外へ広がり現在では世界中で非常に大きな運動になっています。日本でも最近翻訳がでましたね。

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