雑誌 政治政策 格差・貧困
消費税撤廃、アジア版列島改造、そして格差是正……ニッポン経済復活へ、田中角栄ならこうする
小手先の政策でこの難局は打破できない
〔PHOTO〕gettyimages

いま空前の田中角栄ブームだ。関連書籍が次々に刊行されてはベストセラー化し、テレビや新聞も大特集を組んでいる。難局の時代を突破するヒントを角栄に求めたら、答えがたくさん見つかった。

アジア版列島改造論をぶち上げる

まず多くの識者が指摘したのが、「日本の売り込み」を、アジア中心で一気に進めていくだろうということである。

「田中角栄さんがいま生きていたら、安倍政権とはまったく逆のことをするでしょう。安倍政権は中国を脅威と捉えて対立していますが、田中さんならばうまく取り込んでいく。

なにせ中国は13億人以上の人口を抱える巨大マーケット。日本国内の内需が人口減少で縮んでいくのなら、中国、さらにこれから中国をも上回ってくる巨大市場のインドを取り込もうと考えるのが田中流です。

1972年に田中さんは中国の周恩来首相と会談し、歴史的な日中国交正常化を実現させました。いまならば田中さんは訪中して習近平国家主席と握手をし、そこで『日本列島改造論』に代わって、『アジア列島改造論』をぶち上げるでしょう」

そう語るのはジャーナリストの田原総一朗氏。聞くだけでワクワクするような構想だが、『アジア列島改造論』とはどのようなものなのか。

田原氏が続ける。

「田中さんが日本列島改造論で提唱していたのは、日本中が一つの都市のように結びついて、北海道から九州までが一日で往復できる『一日経済圏』『一日生活圏』となることで日本全体が発展するというもの。そのために新幹線と高速道路をめぐらせ、各地に地方空港を作り、さらに日本の4つの島をトンネルと橋で結ぶことが不可欠だと彼は説いた。

『アジア列島改造論』は、同じことを中国やインドまで含めたアジアのスケールでやるものになる。アジア全体を巨大なマーケットとして結びつけるために、最新鋭の空運、海運、陸運の交通網が莫大なスケールで整備される。

ヨーロッパがEU(欧州連合)や共通通貨のユーロを作ったように、アジア共同体やアジア版ユーロのような共通通貨も新しく生まれてくる」

田中角栄の外交力は、グローバル時代のいまであればなおさら、存分に発揮される。実際、「現代の田中角栄」が政府専用機に乗って地球全体を飛び回り、世界の首脳たちとのトップ外交で次々と商談をまとめていく姿は容易に想像できる。

田中の首相秘書官を務めた木内昭胤氏も言う。

「田中さんは『人気絶頂の時にこそ、一番難しいことにチャレンジする』と言って日中国交正常化を実現させたので、現在のように官邸が強い政治状況のときこそ、最も難しいとされる中国との関係改善に動くでしょう。

習近平国家主席は日本に強硬姿勢ですが、そういう相手にも田中さんは言うべきことは言う。そして、気がついた時には笑顔で握手をする関係を作ってしまうのです。

田中さんは旧ソ連との間でも、ブレジネフ書記長と初対面にもかかわらず丁々発止でやって、切った張ったの外交を展開しました。そのうえで北方四島の領土問題を確認し、シベリア開発の道筋を固めた。

そんな資源外交を展開した田中さんですから、いまならプーチン大統領とトップ交渉をして、新しい石油・ガス田開発の権益を日本に持ってくる。ロシアからパイプラインを日本に引いてくるくらいのこともやるでしょう」

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