大金持ちへの最短ルート!?「プログラミング教育」はもはや不可欠。しかし拙速な「必修化」はキケンだ

できるかできないかで世界が変わる
清水 亮

とにかくそうして環境が整ったあとの段階として、科目としての「プログラミング」導入を前提とした、学習指導要領の全面刷新へ進む。すべてが実現するのには、少なくとも10年ほどの期間が必要になるように思われます。

そしてもう一つ提案したいのが、小中学校におけるクラブ活動や部活動として、「プログラミング部」を設立すること。現状でも、「パソコン部」などの名目で設置されている学校がありますが、やることはゲームやパソコンいじりなどになっていて、プログラミングと距離が置かれている場合も少なくない。

そこで純粋にプログラミングを目的とした部を設置して、興味関心や、すでに一定の知識を持ったような子どもが、よりプログラミングと触れあいやすい環境を整えあげることが有意義だと思います。

さらに、子供たちが目指す目標を設定してあげる、という意味で全国的なコンテストを開催してみてはいかがでしょうか。夏休みの自由研究で絵を描いて、それを2学期に絵画コンテストに応募するようなイメージです。現在、筆者らも角川アスキー総研と共同で、小中学生向けのプログラミングコンテストを開催すべく、進めています。

個人個人の生徒のことを考えれば、校外のプログラミング・スクールがさらに充実されることも期待したいところです。

筆者は小中学生にプログラミングを教える教室を秋葉原で開講していますが、そこでは、簡単なビジュアル言語を用いた「ゲームプログラミング」から始まり、現在のプログラミング事情を考えたとき、必須言語でもあるJavaScriptを使った「3Dプログラミング」、「人工知能プログラミング」の初歩までを1年以内にマスターできることを目指した授業を行っています。

通う子どもは小学4年生くらいから中学3年生までとさまざまですが、「学びたい」という熱意をもってやってきているので、誰もが真綿が水を吸収するかのようにプログラミングを自分のものとして身に着けている。そんな彼らのようすを見ていると、心強くも感じています。

最後に繰り返しますが、これからの時代、プログラミングができるかどうかで見えてくる世界は大きく変わるはずです。

それがはっきりしているからこそ、これからの時代を担う子供たちが、プログラミングに苦手意識を持ったり、つまらないところで挫折したりすることなどないよう、その教育の方法については、慎重に議論を重ねてほしいと切に願っています。

清水亮
1976年新潟県生まれ。株式会社UEI代表取締役社長兼CEO、株式会社ドワンゴ会長室第三課課長。電気通信大学在学中、米Microsoft Corpにて家庭用ゲーム機開発や技術動向の研究・教育に携わり、文部科学省の委託事業などを経た後、98年にドワンゴ入社。エグゼクティブゲームディレクターとして携帯電話事業を立ち上げ、2002年に退社。CEDEC(ゲーム開発者向け技術交流会)設立などにかかわり、03年より現職。04年度に独立行政法人情報処理推進機構(IPA)より天才プログラマー/スーパークリエイターとして認定され、05年より東京大学大学院情報学環履修生。08~10年九州大学大学院非常勤講師。著書に『教養としてのプログラミング講座』『実践としてのプログラミング講座』(ともに中公新書ラクレ)など。