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人類の「見ること」をレンズが拡大させた
~高校数学でわかる光学の知識

竹内淳『高校数学でわかる光とレンズ』
〔PHOTO〕iStock

 
光の反射、屈折、全反射、干渉などの基本から現代光学の物理を理解する

私たちの周りには「光」が満ち溢れています。その光によって周りの世界を見ることができます。レンズを使ったさまざまな光学機器の発明により、見ることのできる世界は、はてしなく広がりました。

本書は、「光の性質」「凸レンズと実像の関係」「カメラと目」「虫メガネ、望遠鏡、顕微鏡」「近軸近似と光線追跡」「波としての光」「単色収差」「色収差」「屈折と分解能」と、現代光学の知識を着実にマスターしていきます。

はじめに

私たちの身の回りに満ち満ちているもの、それは光です。目から得られる情報は、多くの生き物にとって日々の生存のために極めて重要です。光によって目の奥の網膜に形成される像によって、対象物の形、色、距離などの情報がもたらされます。

人類は長い間、「見ること」については肉眼が持つ能力そのものに頼ってきました。しかし、16世紀のヨーロッパでレンズを使う拡大鏡、顕微鏡、望遠鏡が発明されてから、人類が見ることができる世界は広がり始めました。従来見られなかったものを見られるように変えること、それは光学と呼ばれる学問が持っている大きな魅力の一つです。

また、19世紀にはカメラが発明されて、映像の記録が可能になりました。記録された映像は、時間と空間の両面に広がり、いまや世界中の人々が同一の映像をほぼリアルタイムで見ることができます。しかも、それを人類の文明が続く限り、かなりの未来まで伝えることも可能です。ここにも、光学が大きく貢献しています。

本書の前半では、光を光線として扱う幾何光学と呼ばれる分野を解説し、特にレンズの働きを明らかにします。光学機器としては、カメラやメガネ、それに望遠鏡や顕微鏡が大活躍しています。

このレンズに関わる物理を基礎から知りたいと思っている方は多いことでしょう。カメラマンにとって重要な被写界深度等を計算するエクセルファイルもブルーバックスの公式サイトに載せています。さらに本書の後半では波動光学に踏み込み分解能を決める要因を明らかにします。

本書は、大学の学部レベルの光学の基本となる知識と体系を、高校数学の知識を身に着けていれば理解できるよう工夫してみました。今、大学で光学を学び始めたばかりの学生のみなさんや、大学の光学を早くのぞいてみたい高校生のみなさん、それに少し本格的に光学を勉強してみたいと思っている社会人のみなさんのお役にも立てることと思います。

本書を読み進めるにつれて、光学の知識は一つずつ確実に読者のみなさんの頭脳に吸い込まれていくことと思います。また、ときには少し難しいところもあって、一瞬つまずくこともあるかもしれません。しかし、それを乗り越えて最後まで読み終えたとき、そこにはきっと新たな世界が見えていることでしょう。

著者=竹内 淳(たけうち・あつし) 
1960年徳島県生まれ。1985年大阪大学大学院基礎工学研究科博士前期課程修了。理学博士。富士通研究所研究員、マックスプランク固体研究所客員研究員などを経て、1997年早稲田大学理工学部(現在は先進理工学部)助教授、2002年より同大学教授。専門は、半導体物理学。著書に『高校数学でわかるマクスウェル方程式』『高校数学でわかるシュレディンガー方程式』『高校数学でわかる半導体の原理』『高校数学でわかるフーリエ変換』『高校数学でわかる相対性理論』『高校数学でわかる流体力学』(講談社ブルーバックス)など。
『高校数学でわかる光とレンズ』
光の性質から、幾何光学、波動光学の核心まで

竹内淳=著

発行年月日: 2016/05/20
ページ数: 272
シリーズ通巻番号: B1970

定価:本体  980円(税別)
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(前書きおよび著者情報は初版刊行時点のものです)

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