ブルーバックス
数学の未解決問題は人工知能に任せるしかない!「四色問題」が投じた巨大な問い
一松信『四色問題 どう解かれ何をもたらしたのか』
〔PHOTO〕iStock


埋もれたままの古典的な数学の未解決問題は
もはや人工知能に任せるしかない。

数学の未解決問題として有名だった四色問題――平面上の地図は四色で塗り分けられる――は、1976年の夏、イリノイ大学の二人の数学者、K・アッペルとW・ハーケンによって解決された。

しかし、それは計算機による膨大な検証という、従来の数学の証明法とは全く異なるものだった。四色問題の誕生から最終的解決にいたるまでの先人たちの苦闘の歴史を踏まえ、計算機に依存した現代の数学的証明の意義をあらためて考える。

はしがき

拙著『四色問題』の初版がブルーバックスで刊行されてからすでに四〇年近くが経過し、同書も永らく絶版になっていた。今回新訂版刊行の話が寄せられた折に、まず気に掛かったのは次の点である。初版は、解決された問題に対して、多大の努力が払われたが結局最終解決に実らなかった試みの記述が多すぎた。

そこで、第五章までは若干の誤りを修正し、個人的な回想や偏見、研究者の逸話への深入りを削除したが、ほとんどもとの記述を残した。その理由はいくつかある。

まずこの種の歴史的記述が現在の書物に意外と乏しいこと、次に比較的簡単に証明できる部分的な結果は、数学に興味を持つ者にとって有用性をもつと思ったことである。さらに歴史的な第難問も解決に払われた多大の努力を、最終的な成果だけから判断するのは一面的と考えたのも、もう一つの理由である。

さらに、四色問題が現代に投げかけた「数学的証明とは何なのか」という問題を問い直し、いまだ埋もれたままの数学の未解決問題は、もしかすると計算機に任せるしかないのか、見直してみたくなった。