現代新書
溶け始めた人間と機械の「境界」 テクノロジーの最前線はとんでもないことになっていた!
AI、ロボット、3Dプリンタ…
〔photo〕iStock

テクノロジーが不可能を可能にする──それは昔も今も変わらない。しかし、現在、テクノロジーの最先端で起きていることは、私たちの想像力をはるかに超えはじめている。

作家・海猫沢めろんが日本屈指の科学者たちを訪ね歩いた話題の新刊『明日、機械がヒトになる』より「まえがき」を特別公開します。

あなたは本当に、人間ですか?

あなたは人間ですか?

そう聞くとほとんどの人が「YES」と答えるでしょう。

だけど、本当にそうでしょうか。

ぼくは、子供の頃、自分がロボットだと思っていました。

あまり悩むこともない単純な人間だったこともありますが、あるときに、ふと自分の行動の多くが、環境に支配されていることに気づいたのです。

そうか……たぶん自分は、ネジや電子機器を使わずに、細胞を組み合わせてつくられたロボットなので、なかなか人間たちにはバレないのだ……。検査されてもボロがでないように、臓器も脳も人間とまったく同じにつくられている。だから心もない。

……そんな設定で日々を過ごしていました。

いつしかぼくはロボットであることを忘れていました。生きていくには何の問題もなかったので、今は、自分がもしかしたら人間なのかもしれないと思っています。

だけど、初音ミクや、テレビに映るロボット、科学技術でつくられた機械に、ときどき「心」みたいなものを感じてしまうとき、ぼくはやっぱり自分がロボットなんじゃないかな、と思うのです。

あなたにもありませんか?

人と機械がどう違うのか、わからなくなるような瞬間が。

人間の機械化、機械の人間化

普段は小説を書いているぼくが、今回なぜ科学ルポをやろうと思ったのか。理由は簡単で、テクノロジーがぼくたちの想像力を超えはじめている、その現場を見たいからです。

テクノロジーが不可能を可能にする──それは昔も今も変わりません。けれど、現在、テクノロジーの最先端で起きていることは、かつての科学の大きな目標であった、ロケットで月に行くのとはまた違った意味を持っているのではないか。そう考えています。

では、どう違うのか?