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EU離脱か残留か、近づく審判の日
〜イギリスはなぜ「自傷行為」に向かうのか?

高まる反EU感情の由来
〔photo〕iStock

 もしイギリスがEUを離脱したら…

イギリスで6月23日に行われる欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票の動向が世界の一大関心事となっている。

国際政治、経済合理性の視点で判断すれば、イギリスがEUを離脱することは「自傷行為」のように思える。それでも、フィナンシャル・タイムズ紙が5月8日時点でまとめた各種世論調査の平均値は残留支持が46%、離脱支持が43%と拮抗している。

オバマ米大統領は4月下旬、残留に政治生命が懸かるキャメロン首相を援護するため訪英し、「今の世界で影響力を発揮するには集団的な行動が必要だ」と離脱派を諫めた。外交では禁じ手の内政干渉であるが、それだけアメリカと国際社会の危機感は強いのだ。

リフキンド元英外相は次のように語っている。

「世界でイギリスのEU離脱を望んでいるのは(欧州の不安定化を図る)プーチン露大統領を除いて他にいないだろう」

離脱の結果が出た場合、フランスやイタリア、オランダなど他のEU加盟国でも国民投票実施のドミノ現象が起きかねない。そうなれば、アメリカのパートナーとして戦後の自由主義体制を支えてきた欧州の国際社会での影響力は一層低下し、世界のパワーバランスは中露などリビジョニスト(現状変革)国家が望む方向へ傾くことになるだろう。

今回の国民投票は、イギリスがEUに残るのか去るのかという次元の問題に止まらず、その結果に懸かる命運はかくも大きいのである。

そもそも、なぜこんな危険な国民投票を?

ここで一つの疑問が沸くのではないだろうか。

キャメロン首相はそもそも、なぜこの危険な国民投票に打って出る必要があったのかということだ。首相自身は「イギリスは『改革したEU』に留まる方がより強く、安全で、豊かになれる」と語るなど、EU残留を国益だと強く信じている指導者だ。